5月23日、明治安田生命J2リーグ第15節のビッグマッチが、首位のアルビレックス新潟と勝ち点1差で3位に迫る京都サンガF.C.の激突。緊迫の展開が最初から最後まで続く好勝負となったが、勝利を収めたのは京都。これで順位が入れ替わり、ついに京都が首位に立った。

上写真=58分に京都が決勝点。ゴールを決めて寝転んで喜ぶ川崎楓太を仲間が祝福(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月23日 明治安田生命J2リーグ第15節(@デンカS/観衆12,684人)
新潟 0-1 京都
得点:(京)川崎楓太

画像: ■2021年5月23日 明治安田生命J2リーグ第15節(@デンカS/観衆12,684人) 新潟 0-1 京都 得点:(京)川崎楓太

「まったく心配していません」とアルベルト監督

 現在のJ2における最高クラスの90分だっただろう。首位のアルビレックス新潟が勝ち点1差で3位に迫りくる京都サンガF.C.を迎えた第15節。球際のハイプレッシャー、相手の穴を探り合う緊迫のリズム、決定機での攻守の集中力と、五分と五分のぶつかり合いはまさに手に汗握る戦いになった。

 勝ったのは京都だ。58分に新潟陣内でボールが行き来した混戦で、新潟ボールになりそうなところを川崎楓太がブロック、ピーター・ウタカが福岡慎平に出し、落としたボールを川崎が20メートル近くのところから右足を振り抜いてゴール左に流し込んだ。これが決勝点になった。

 まさにこのシーンが象徴的で、新潟が最終ラインで動かすところを、京都の選手が連動してコースを制限して追い込み、スローインを手にしたところが始まりだった。そこから今度は、どちらに転ぶか分からないボールを集中して奪いにいって前に持ち出すパワーが、まさに今季の京都の強み。チョウ・キジェ監督が「変な意味ではなく楽しい試合でした。お互いの良さが出たいい試合でした」と話したように、京都は京都の良さを新潟に思い切りぶつけて勝利をもぎ取った。

 試合はわずか10秒の新潟のフィニッシュでスタート。堀米悠斗のロングパスで左を抜け出した本間至恩がワンタッチで折り返し、鈴木孝司がヘディングで狙ったが左に切れた。派手な幕開けに対して、ここから京都は強烈なハイプレスでやり返す。新潟のパスワークの起点となる千葉和彦と舞行龍ジェームズに迷いなく圧力をかけて、新潟のリズムを分断した。

 新潟は22分に左CKから千葉がヘディングシュート、46分に本間が中央から持ち込んで強烈なシュートを放つなど決定機を迎えれば、京都も49分にヨルディ・バイスの低いクロスにウタカが体をうまく使って相手をブロックして流し、荻原拓也がゴール正面から強烈に狙うなど、ともにビッグチャンスを迎えた。これをそれぞれのGKが安定した守備で防ぐなど、0-0のまま後半に入った。

 後半開始から選手2人を、52分にも1人を代えて強度を落とさないまま試合を進めた京都に対して、新潟も負けじと攻撃への圧力を増していく。開始1分で左からの高木善朗のクロスに鈴木孝司がヘッドで狙い、66分には高木がミドルシュート、74分にも島田譲が強烈なロングシュート、85分に右からの藤原奏哉のクロスに鈴木がヘッドで流し込もうとするなど、ゴールに迫った。しかし、GK若原智哉が立ちはだかって、ゴールを割ることはできなかった。

 新潟のパスワークに翻弄されて足が止まるチームが多い中、京都は最後まで動き続けて新潟の連続攻撃をストップ。タフに戦い抜くポリシーを貫いて、1-0で勝利をもぎ取ってついに首位に立った。

 チョウ・キジェ監督は「プラン通りになったところと、そうは言っても相手の良さを引き出してしまうところもありましたが、粘り強く勝ち点3を取りました。1ではなく3を取ろうとした選手を誇りに思います」と称えた。「自分たちのフィールドに持ってこれるかがポイントだと思っていて、新潟の小気味よいビルドアップに対してやられた場面もありましたが、こちらもゴールに向かっていけたのはプラン通りでした」とハードなアウェーゲームを最高の結果で終えて、充実の表情だった。

 新潟はこれで今季初めての連敗に。首位からも陥落する形になったが、アルベルト監督は「サッカーはときには不公平な結果をもたらすことがあって、そんな典型的な展開になりました」と1点に泣いた試合を振り返った。しかし、「決定的なチャンスを作ることができていないのなら心配しますが、そうではないのでまったく心配はしていません」と今度の成長の糧にすることを誓った。

写真◎J.LEAGUE


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