絶好調の高木善朗が、またも魅せた。明治安田生命J2リーグ第5節でアルビレックス新潟が東京ヴェルディを迎えた一戦。高木はハットトリックに1アシスト、さらに守備に奮闘して頭脳的なプレーで古巣相手の7-0勝利をもぎ取ってみせた。

上写真=高木善朗を祝福しようと仲間が集まる。高木はハットトリックのほかに1アシストと絶好調(写真◎J.LEAGUE)

■2021年3月27日 明治安田生命J2リーグ第5節(@デンカS/観衆:10,968人)
新潟 7-0 東京V
得点:(新)高木善朗3、本間至恩、島田譲、鈴木孝司、三戸舜介

「素直に勝ててほっとしています」

 真剣に試合を振り返りながらも、自然と口角が上がる。試合後のオンライン会見。ハットトリックを決めてみせた高木善朗は、充実の笑顔を見せていた。

 17分、本間至恩が得意のドリブルで左ハーフスペースを突き進むと、絶妙のタイミングを見計らっていた。中央から左斜め前に抜け出してパスを引き出し、ワントラップから左足のフィニッシュ。これがDFの足に当たってホップして、GKマテウスを越してゴールに転がり込んだ。

「1点目は至恩がドリブルしてセンターバックを引きつけてくれて、去年の福岡戦で(渡邉)新太(現大分トリニータ)が決めたゴールのイメージで蹴りました」

 22分、またも本間がドリブルで中央を割ろうとして相手を集めたところで左へ、堀米悠斗の緩やかなクロスに相手がかぶってしまい、走り込んだ高木がヘッドで当てたボールがうまくマテウスの逆を突いてゴール左に吸い込まれていった。

「2点目はヘディングでしたけど、ラッキーなゴールでした」

 これで2点をリードしたあと、後半に本間、島田譲、鈴木孝司がゴールを決めたところで、ハットトリックの締めくくりは82分。自らが得たPKを右足でゴール左に自信満々に蹴り込んでみせた。

「3点目はペナルティーキックでしたけど、落ち着いて蹴ることができました」

「足も少し傷んでいたので、(谷口)海斗に初ゴールをプレゼントしたいと思ったんですけど、ハットトリックがかかっていたので自分で蹴りました。周りから、『これは蹴るでしょ』って言われましたし」

 というわけで、プロ初の1試合3得点は、左足、ヘッド、右足で決めた「コンプリートハットトリック」になった。

「ハットトリックはチームメートに感謝ですね。パスを出してくれる選手がいるから決められるので」

 このあと、三戸舜介のプロ初ゴールも飛び出して、J1とJ2の両方で過去12戦を戦って一度も勝てなかった東京Vに7-0の劇勝、しかも高木にとってはプロ初のハットトリックを、アカデミーから育った古巣相手に決めるというめぐり合わせだ。

「ヴェルディには勝てていなかったので、素直に勝ててほっとしています。古巣相手なのでいつもと違う気持ちがありあしたけど、いい方に出たので良かったです」

 これだけではなかった。書き残しておきたいのは72分の鈴木のゴールをお膳立てしたシーン。

 相手の攻撃を止めて自陣ペナルティーエリアから島田が左の鈴木に送り、フリックして中の高木に預けた。高木は相手のプレスをきれいなターンでかわすと、そのまま一気にドリブルをスピードアップさせてカウンターを発動した。

 待ち構えるDFは2人。右からは星雄次がついてきていて、左には鈴木が猛ダッシュでゴールに一直線に走ってきた。

 高木はドリブルのコースを右寄りに取った。星に近づくようにして進むことで、DF2人の注意をまとめて引き寄せた。中央ががら空きになった。

 そこに鈴木を走り込ませて優しくラストパス。鈴木がワンタッチで軽やかに決めて、チーム5点目が生まれた。

 高木が絶好調なのは激しい守備だけでも、ハットトリックを決める決定力だけでもなく、この頭脳があるからこそだ。それをアルベルト監督はこんな風に表現する。

「ピッチの中で起こっている現象を、誰よりも正しく正確に理解しています。攻撃のときには賢く、必要なところに必要なタイミングで現れます。守備も賢く、チームのために守れる素晴らしい選手です。彼のような素晴らしい選手がクラブにいてくれるのを誇りに思います」


This article is a sponsored article by
''.