レノファ山口FCの渡邉晋監督が、3月11日の練習後にオンライン取材で報道陣の質問に答えた。10年前に経験した東日本大震災への思いや、チームづくりの現状、次節からのホーム連戦への決意などを語っている。

上写真=チームづくりの現状への手応えを感じているという渡邉監督。1分け1敗からのホーム連戦を控える(写真◎石倉利英)

新潟は「間違いなく昇格候補の一つ」

 オンライン取材が行なわれた3月11日は、東日本大震災から10年となる節目の日。震災発生当時はベガルタ仙台でトップチームのコーチを務めていた渡邉監督は、この日の練習前にチームで黙とうを捧げたことについて、このように語った。

「私がずっとお世話になっていたベガルタ仙台は、まさに被災地のクラブ。いろいろな思いを背負って戦ってきた、これからもずっと戦っていくという過去と使命があると理解しています。他のクラブに来たときにどのような伝え方ができるのか、自分なりに考えてみたのですが、土肥コーチ(土肥洋一GKコーチ)が『明日、みんなで黙とうしよう』と先に言ってくれた。そういう話をしてくれるスタッフがいるのは心強かったですし、そういう思いを持った人間がいるということは、 いろいろな意味で成長できる、何か困ったときに助け合ったり、支え合ったりできるクラブだと感じました」

 2019年限りで仙台の監督を退任し、今季から山口で指揮を執っている。明治安田生命J2リーグでは開幕2試合で1分け1敗と、まだ白星がない。チームづくりの現状について問われた渡邉監督は「もちろん我々はプロなので、勝ち負けで評価されるべきだと思います」としながらも「相手があることなので、全部勝てることもないし、ものすごく良いプレーをしていても、勝利につながらないことはたくさんある。そこで我々が見せなければいけないのは、目の前の90分間にどれだけエネルギーを注げているか。その姿を見せることができるかが、すごく大事」と持論を語った。

 FC琉球とアウェーで対戦した前節は、開始から1分もたたないうちに先制され、前半は0-2で終えたが、後半に1点を返して追い上げた。「つたない失点をして、(試合への)入りも悪かった。ただ、そこからファイティングポーズを取り直して、しっかり戦う姿を見せたのも我々」と振り返った指揮官は、最終的に1-2で敗れたとはいえ「ただでは倒れない、というものを示すことも、今後を考えれば大事だったと思います」と評した。

 仙台を率いていたときはJ1で戦っており、リーグ戦に出場していない選手をルヴァンカップで起用する手法を用いることができた。渡邉監督は今回、ルヴァンカップに参加しないJ2のクラブを初めて率いるにあたって「しっかりトレーニングゲームを組んでいかなければいけないと考えた。いまは毎週末、公式戦の次の日に組んでいる」とコメント。琉球戦の翌日もギラヴァンツ北九州と練習試合を行なっている。

 現状でリーグ戦に出場していない選手にも実戦の機会を確保することと、日々の練習の積み重ねによって、渡邉監督が「コアグループ」と表現した、いわゆる主力組に「入っていけそうな選手はどんどん増えている」という。開幕戦に先発出場したMF島屋八徳の負傷離脱もあったが、「穴を十分に埋める選手が鼻息荒く待ってくれている。そういった選手のエネルギーを使わない手はない。競争も含めて、チームの総合力を少しずつ高める方向には来ているのかなと感じている」と現状の手応えを明かした。

 第3節と第4節はホーム連戦。21日の第4節・ファジアーノ岡山戦の前に、13日の第3節では開幕2連勝で首位に立つアルビレックス新潟と対戦する。「結果も出ているし、戦力も充実している。J1経験クラブでもあり、間違いなく今年の昇格候補の一つ」と指揮官が評する難敵だ。

 それでも「ただ、戦う場所は維新。ひるんだ姿を見せることはできない」と力強くコメント。「チャレンジャーという思いも持ちつつ、我々が狙っていることを攻守において表現する。それをやった上で、ここは勝つ場所なんだと、今度こそサポーターの皆さんに表現していきたい」と決意を新たにしていた。


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