明治安田生命J2リーグで2位のアビスパ福岡が何とか勝ち点1を死守した。ツエーゲン金沢が27分と49分に先行する展開だったが、諦めない福岡は終盤に一気に2点を奪い取ってドロー。勢いをつけて残り3試合に挑む。

上写真=福岡がついに同点! カウンターを発動した重廣卓也もガッツポーズだ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月6日 J2リーグ第39節(@ベススタ:観衆5,835人)
福岡 2-2 金沢
得点者:(福)田邉草民、遠野大弥
    (金)杉浦恭平、石尾崚雅

画像: ■2020年12月6日 J2リーグ第39節(@ベススタ:観衆5,835人) 福岡 2-2 金沢 得点者:(福)田邉草民、遠野大弥 (金)杉浦恭平、石尾崚雅

「そういう姿勢は好き」と柳下正明監督

 ツエーゲン金沢が1点のリードで折り返し、後半開始のタイミングでアビスパ福岡が田邉草民、福満隆貴、山岸祐也を一気に投入して逆襲を図りながら、49分に金沢に2点目を決めたところから、試合が変わった。

 福岡は少なくとも2点を返さなければ勝ち点を手にすることができない。だから、攻めるしかなかった。遠野大弥の推進力と田邉草民のキープ力を中心にゴールに迫っていき、もちろん金沢は、その前進を全力で止めにかかった。ボールホルダーに迷いなく襲いかかる「人へのプレス」がベースの守備はまさに金沢らしい鋭さだった。

 攻める福岡と守る金沢、息をもつかせぬような戦いが続いた。だが、動くときは一気に動くのもサッカーの不思議なところ。終盤に福岡のラッシュが功を奏した。

 84分、右CKのこぼれ球から再びエミル・サロモンソンがグラウンダーでマイナス方向に折り返すと、田邉が右足で突き刺してまず1点。その3分後には自陣からのロングカウンターで遠野がドリブルでぐんぐんと持ち出して左の田邉へ、リターンパスを遠野が左足でしっかりと叩き、GKの手を弾いてゴールに転がり込んだ。一気の同点劇だった。

 前半は金沢が攻守に安定していて、福岡を苦しめた。右サイドからの大きなサイドチェンジを左サイドで受けた渡邊泰基が、ホドルフォとのワンツーで抜け出してクロス、中央で杉浦恭平が滑り込みながら押し込んだ27分の先制ゴールは、組み立て、クロス、フィニッシュとすべてがパーフェクトなもの。相手がパワーを注いできた後半開始早々の49分に、藤村慶太の右CKを杉浦恭平がニアでヘッドですらし、ファーサイドで石尾崚雅がダイビングヘッドで押し込んだ2点目も非常にきれいなゴールだった。

 それだけに逃げ切れなかったことは悔やまれるが、柳下正明監督は選手に高い評価を与えた。

「90分を通していい戦いができた、いいゲームでした。福岡は2位にいて底力がありますが、2点のリードを逃げ切るサッカーではなくて3点目を奪いにいってカウンターでやられたのは悪くない。そういう姿勢は好きですし、あとはバランスよく攻撃できればと思うけれど、福岡に対して勝ち点3を取れるような内容のゲームをやってくれたので、選手たちはよく頑張ってくれたと思います」

 福岡にとってはもちろん、昇格へ向けて勝ち点3がほしい試合だったが、2点のビハインドを追いついたという勢いはもしかしたらいま、一番ほしかったものかもしれない。長谷部茂利監督もドローに持ち込んだことを評価した。

「悔しい引き分けになりました。不要な失点を重ねたという意味では全体を振り返るとよく追いついたな、と。逆転できそうな空気も出しましたし、カウンターで取られそうにもなりながら、終盤になるにつれて得点の匂いはしてきました。ああいうことを最初からできないと勝ち点3は難しいので、次へ向けていい準備したいと思います」

 首位の徳島ヴォルティスが敗れ、3位のV・ファーレン長崎は勝って、さらに混沌としてきた昇格レース。残り3試合でまだ何が起こるか分からない。


This article is a sponsored article by
''.