明治安田生命J2リーグ第37節で3位のV・ファーレン長崎と6位アルビレックス新潟が激突。攻守が素早く入れ替わる好ゲームで、快勝したのは長崎だった。これで翌日に試合を控えるライバル、ヴォルティス徳島とアビスパ福岡にプレッシャーをかけた。

上写真=先制した富樫敬真が、その突破力で攻撃の中心になった氣田亮真と喜び合う。長崎は貴重な勝ち点3をもぎ取った(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月28日 J2リーグ第37節(@トラスタ:観衆5,722人)
長崎2-0 新潟
得点者:(長)富樫敬真、エジガル・ジュニオ

画像: ■2020年11月28日 J2リーグ第37節(@トラスタ:観衆5,722人) 長崎2-0 新潟 得点者:(長)富樫敬真、エジガル・ジュニオ

「サッカーには結果以外にも重要なものがたくさんあります」

 3位V・ファーレン長崎と6位アルビレックス新潟。昇格レースのサバイバルマッチは、激戦必至という予想通りにテンポの早い好ゲームになった。ホームの長崎では左MF氣田亮真の機動力が目立って押し込めば、新潟も古巣対決に燃える右サイドハーフの大本祐槻の突破などで攻め、一進一退の攻防を繰り広げた。

 前半はそれぞれが主導権を握る時間帯があったが、先制したのはホームチーム。30分のゴールへの流れは鮮やかだった。

 中盤で江川湧清が相手ボールをつつき、カイオ・セザールが回収、毎熊晟矢、秋野央樹、大竹洋平、カイオ・セザール、秋野とテンポのいいパス交換で時間を作ってから、氣田を経由して左前の江川へ。江川が中央に送り込むと富樫敬真がフリーで入り込んでいて右足でプッシュして決めてみせた。中盤でリズムを調整してから左に展開して一気のひと刺し。注文通りの攻撃にあって、江川のワンタッチのセンタリングが絶妙で、DFとGKの狭い空間をダイレクトで射抜いた技術の高さが光った。ドリブルもはさみつつ、次々につないだパスは全部で9本。そして10本目が「ゴールへのパス」になった。

 後半には新潟が攻撃のパワーを強めるが、その裏を返すように長崎が追加点。67分、今度は左から横にボールを素早く動かして右へ運び、大竹洋平が縦に突破してからセンタリング、中央でエジガル・ジュニオがヘッドで押し込んだ。新潟に押し込まれていた時間帯にもう1点を取りきったことで、「勝負ありだった」と長崎の手倉森誠監督も称賛した。

 なおも攻め立てる新潟に対して、長崎は時間を追うごとに守備の集中力が増していく。90+4分には交代枠を使って5バックにする徹底ぶりで、逃げ切りに成功した。

 そこまでしたのは、3日前の松本山雅戦で90+5分に同点とされて1-1で引き分けた悔しさがあったから。手倉森監督は勝負に徹したことを明かした。

「前節、痛い引き分けを喫していて失点したくない思いがあったのと、新潟との前回対戦で2-0から2-2に追いつかれていたので、逃げ切り方を示さなければいけなかった。露骨に守備的にしてゼロで抑えて勝つことができたけれど、何が何でも昇格したいという姿勢を今日は徳島にもアビスパにも示せたと思います。今日、中2日で試合をして、目的は明日に試合のあるライバルに対して勝ってプレッシャーかけることで、それができたことが何よりも良かった。11月は『攻勢の月』と謳ってその最後にいい勝ち方ができて、12月の『決着の月』に波に乗っていけそうな気がしています」

 この試合の翌日に試合を迎える昇格争いのライバル、徳島ヴォルティスとアビスパ福岡への圧力をかけて、逆襲への大きな自信を手に入れた。

 連敗を喫した新潟は、翌日に福岡が勝てば、J2昇格の可能性が消滅する状況に追い込まれた。アルベルト監督は「今年のJ2では昇格する2チームが喜びを満喫し、それ以外は「ハラキリ」(切腹)しなければいけないでしょう。でも、サッカーには結果以外にも重要なものがたくさんあります。何かというと、結果に関わらず選手たちの努力と、攻撃的なサッカーを目指す姿勢を表現する選手を誇りに思えるかどうかで、それは試合の結果以上に重要なことだと思っています。試合の勝ち負けはさまざまな要素が影響してきて、我々がコントロールすることは不可能ですが、サッカーはスポーツであり、ゲームであり、遊びであることをしっかりと理解しなければいけません」と話し、すでに指揮を執ることが決まっている来季に向けて、自身のポリシーを強調した。

写真◎J.LEAGUE


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