明治安田生命J2リーグ第32節の東京ヴェルディ対徳島ヴォルティス戦。徳島の上福元直人にとっては古巣戦だった。味の素スタジアムへの凱旋で2-1の勝利に貢献したが、無失点に抑えられずに貴重なレッスンを授かった格好になった。

上写真=中2日でのアウェーゲームで苦しみながら勝利をもぎ取った。上福元直人にとって古巣との思い出深いゲームになった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月7日 J2リーグ第32節(@味スタ:観衆5,181人)
東京V 1-2 徳島
得点者:(東)藤田譲瑠チマ
    (徳)清武功暉、岩尾憲

「プレーしながら感情が湧いてきて」

 2シーズンの間、自分が守り抜いたゴールを、いま仲間が破っている。徳島ヴォルティスのGK上福元直人は昨季まで所属していた東京ヴェルディと味の素スタジアムで戦って、古巣から2-1の勝利をもぎ取った。

「いつでも目の前の試合に集中できるかが大事ですけれど、今日は試合をしている中で特別な思いはどうしても心の中にあって、プレーしながら感情が湧いてきてしまう部分がありました。感覚的に珍しい感じで、緊張もしていたし、でも自分の中で勝ち点3に貢献できるかをテーマに掲げていたので、結果がついてきてよかったです」

 そんなふうに複雑な心境を表現した。

 試合後には東京Vのサポーターにもあいさつして、大きな拍手を受けていた。「やっぱりヴェルディは素晴らしいですね。雰囲気は最高に良かったです。その中でサッカーできて改めて幸せでした」

 そんな感傷も抱きつつ、J1昇格へ向けて負けられないゲームでしっかり勝ちきった。5度目の5連戦の3戦目、中2日で群馬、徳島、東京と移動しての戦いは苦しかった。その3試合はすべて勝利を収めているのはさすがだが、GKとしてはどの試合も失点しているのは反省点。しかも今回は古巣戦だから、なおさらだ。

「失い方が悪いと相手が枚数をかけてカウンターに力を入れてきました。失点シーンもそういうケースで、そういったところ注意してできればよかったという反省が残ります」

 こちらの組み立てのズレから奪われて一気にカウンターで仕留められたのだが、得点を許したのは昨季デビューしたばかりの藤田譲瑠チマ。今季は主力となっていて、かわいい後輩とはいえ、カウンターからきれいに流し込まれただけに「個人的には悔しい気持ち強かった」。オンライン会見中に隣に現れたようで、「ガッツポーズしていたので後できつく言っておきます」と笑ったが、「ボールには触っていたのでコース変えられたと思いましたが、うまく対応できませんでした。ああいうところで抑えられるキーパーになっていかなければ。上に行くにはそのクオリティーを上げていきたい」と引き締めた。

 この日はこれが唯一の試合。昇格レースを争うほかのチームへ、勝利で大きなプレッシャーをかけることにもなった。「立ち上がりには前から来ると予測していたけれど、展開が影響したこともありますが、最後まで前からプレッシャーをかけてきて圧力を感じていました。やりたいサッカーができないシーンもあって、引き締まって緊迫した試合でした」と振り返るが、だからこそそこを勝ち切った意味はとてつもなく大きい。

「相手が前からはめてこようとする中でも、どこかでフリーになれるところ見つけながらプレーできているときはプレッシャーをひっくり返すことができて、ゴール前まで行けました。そこは狙いとしてはまったと思いますが、うまくいかないと失点の形のようなシーンもあったので、課題と向き合いながら次につなげていきたいと思います」

 それは、古巣から授けられた貴重なレッスン。残りは10試合。昨季プレーオフで阻まれたJ1昇格へ、今年こそひた走る。

写真◎J.LEAGUE


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