ファジアーノ岡山GKポープ・ウィリアムは今季、前節までチーム唯一の全試合フルタイム出場。プロ入り後初めてシーズンを通して試合に出場し、責任の重さを感じながら経験を積み重ねている。

上写真=厳しいコースへのシュートを鮮やかにセーブ。ポープ・ウィリアムはハイレベルのプレーで定位置を確保している(写真◎石倉利英)

「試合に出られる保証はない」

 川崎フロンターレから今季、ファジアーノ岡山に期限付き移籍しているGKポープ・ウィリアムは、2月の明治安田生命J2リーグ開幕戦に先発してフル出場。再開後も定位置を譲らず、第29節終了時点でチーム唯一の全試合フルタイム出場を続けている。

 ジュニアユースからアカデミーでプレーした東京ヴェルディで2013年にトップチームに昇格したが、3年間でリーグ戦出場は1試合。16年はFC岐阜に期限付き移籍したものの、ここでもリーグ戦出場は4試合に終わった。

 17年は川崎Fに期限付き移籍し、翌18年に完全移籍。昨季は川崎Fから大分トリニータに期限付き移籍するも、この3年間はリーグ戦出場ゼロだった。4年ぶりにリーグ戦出場を果たした今季はプロ入り後初めて、コンスタントに出場機会を得ているシーズンとなっている。

「試合で良いパフォーマンスをするために、どう準備するか、どのように練習に取り組むか。それらを考えながらやっていることが、安定して自分のパフォーマンスを出せる要因になっていると思う」と語る。一つしかないポジションゆえに「責任があるので、そのために日頃から生活するリズムになる」と感じており、「もっとやれることはありますが、そういったことが整理されてきたことで、自分としては安定した、良いパフォーマンスができている試合が多い」と自己分析する。

 試合に出られない時期はチャンスを得るために気負い、それが良い方向に出ることもあれば、悪い方向に出ることもあったという。とはいえ、現在もレギュラーの座が約束されているわけではない。「もちろんポジション争いがあり、試合に出られる保証はない」と語りながらも、「常に危機感を持ってやれているし、一つひとつの練習も、誰にも負けないという強い気持ちで取り組めている」という姿勢が、定位置を揺るぎないものとしている。

 岡山は10月の6試合が2勝4分けの負けなしで、少しずつ調子を上げている。ただ、無失点に抑えたのは2試合で、第25節では東京Vを1-0で下したものの、第27節の大宮アルディージャ戦は3-2の勝利だった。

「無失点で終わるか、そうでないかは、勝ったとしても大事なところ。大宮戦は自分のミスで複数失点して、後味は良くない」。そう語る守護神は「そういう試合を、いかに減らしていけるか。ミスをなくすために、気を引き締めてやらなければいけない」と今後を見据える。

 11月1日の次節では、ジェフユナイテッド千葉と対戦する。まず目指すのは無失点、その上で「さすがに自分で点を取ることはできませんが、ビルドアップでチームを助けたり、(ロングキックなどで)直接アシストすることはできる」という攻撃への貢献も意識して、10月に続く好スタートを期している。

取材・写真◎石倉利英


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