明治安田生命J2リーグで12連勝中のアビスパ福岡は、第28節のFC町田ゼルビア戦で残念ながら0-0のドロー。とはいえ、負けたわけではない。後半途中から出場して戦況を一変させた前寛之は、その時空を操るセンスでまだまだ牽引していく。

上写真=57分に登場して流れを引き寄せた前寛之。福岡の攻守の中心だ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月21日 J2リーグ第28節(@Gスタ:観衆1,008人)
町田 0-0 福岡

「連勝記録は続かなかったけれど切り替えて」

 アビスパ福岡の「57分以前」と「57分以後」で大きく戦いの色が変わった。57分とは、前寛之が登場したその時間。

 アウェー4連戦の4戦目。チームは12連勝中と波に乗り、その12戦目でザスパクサツ群馬から1-0の勝利の決勝点を挙げたのが前だったが、このFC町田ゼルビア戦はベンチスタートとなった。

 前半は意外にもチームのシュートはゼロ。町田の積極的な出足に中盤でやや後手を踏み、奪ったあとの最初のパスが乱れがちになってリズムを作れなかった。

 そこで登場したのが、前である。いつものようにボランチに入った。送り出した長谷部茂利監督は「パスワーク、攻撃のところで色をつけてもらいたいというニュアンスのことを伝えています」と狙いを話す。その結果、「前が入ったときに良い攻撃になり、奪うことも増えて取り方もいい」と攻守に評価した。

「お互いにやり合う前半で、セカンドボールで相手が優位に立っていたところはあったので、僕が後半から入るときは、そこを意識しました」

 前自身がそう感じていた難しい流れを変えるべく、ボールに積極的に関与して受けてはタメを作り、テンポ良くボールを動かして、攻撃の時間と空間をコントロールしていった。

 だが、ゴールだけが足りなかった。0-0のドロー。負けはしなかったが、「こっちが良くなかったのも相手が良かったのも、どっちもあると思います。質の部分を求めていかなければいけないと思います」と言葉少なだった。

「後半は自分たちのサッカーができていたので、その中で点を取って勝ちたかったです」

「いくつかチャンスあったと思うので、そういうところで決めたかったです」

 連勝はひとまず12で止まった。前もそうやって悔やむしかなかった。ただ、負けたわけではない。首位から転落したわけでもない。

「今日は負けずに勝ち点1を拾って戻れます。連勝記録は続かなかったけれど切り替えて、すぐに次の試合があるので、その千葉戦に向けて100パーセントの力でいけるように頑張りたいと思います」

 残りは14試合。J2は最後まで何が起こるか分からない。まずは5連戦の最後となる次節のジェフユナイテッド千葉戦で勝って、無敗を14に伸ばしておきたいところだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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