明治安田生命J2リーグ第22節でアルビレックス新潟とヴァンフォーレ甲府はまさに痛み分けだった。新潟はこれで4戦勝ちなしになったが、光ったのが高木善朗のプレー。相手のライン間でボールを引き出しチャンスを演出していった。

上写真=5試合ぶりの先発で輝いた高木。相手の懐に潜り込んでいった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月26日 J2リーグ第22節(@デンカS:観衆7,777人)
新潟 1-1 甲府
得点:(新)オウンゴール
   (甲)ドゥドゥ

「違いを見せたかった」

 第18節でジェフユナイテッド千葉に3-1で完勝したあと、ギラヴァンツ北九州と徳島ヴォルティスに連敗、愛媛FCに引き分けて3試合勝ち星がないアルビレックス新潟。必勝を期してアルベルト監督が送り込んだのが、高木善朗だった。しかも、1トップのすぐ後ろのセンターに据えた。

 新潟がはっきりと「トップ下」を置くことは珍しく、さらには右サイドに大本祐槻、左サイドに本間至恩を配し、ウイング的な動きが得意な2人を翼にしてサイドアタックを強化した。テコ入れをして変化を加えてでも勝利を手にしたい意気込みが伝わってくる。

 光ったのが高木の動きだ。甲府は相手ボールになるとオートマティックに5バックと4人の中盤のラインを形成して強固なブロックを築く。高木はこの2つのラインの間にふわふわと漂うように入っていって、相手の嫌がる場所で顔を出してボランチや最終ラインから縦パスを引き出して、ブロック崩しのポイントになった。

「チームの攻撃のリズムが変わらないと思っていたので、縦に受けてまた縦に通して、というのは意識しましたけど、もっともっとやらないといけないなと思いました」

「チームとしても個人としても、間で受けることで違いを見せたかった」

 実を結んだのが63分。左サイドで荻原拓也が持ったときに本間至恩とともに近づき、受けた本間に相手2人が寄せるとその間に顔を出してボールを引き出し、簡単にプレスをはがした。ワンタッチで外の荻原に送ってクロスを促すと、ニアに入ったボールからオウンゴールが生まれた。

「至恩と僕が近い位置で動かせたので、相手はオギ(荻原)をフリーにして、そこからいい形でクロス入ったので得点に結びつきました。でも、そういうシーンをもっともっと増やさないといけないなと思いました」

 この先制ゴールの喜びは2分後の甲府の同点ゴールによってかき消されたので、反省も口を突いて出てくるが、潜っては顔を出し、を繰り返して、間違いなく新潟のパス回しのリズムの中心になった。

 今季はこれがまだ7試合目の先発。ようやく爪痕を残した形だが、「攻撃でたくさんボールに触れたのは良かったですけど、フィニッシュに顔を出せなかったので次からの課題です」とまた反省だ。確かにシュートはゼロ。さらに怖い存在になるにはシュートを狙っていく姿勢が必要だと自らに課す。

 そして、もう一つ。

「あとはセットプレーで一本ぐらい取れたらいいと思っています」

 右利きのプレースキッカーとして、この日も相手の嫌がるボールを蹴り続けた。これがゴールにつながれば、戦いはより楽になるのは間違いない。

 これで4戦勝ちなしと苦しいが、「連戦なのでしっかり波に乗れれば上に行けると思うので、早いうちに波をつかまないといけないと思っています」と引き締める。相手の懐にもぐり込む動き、セットプレーで鋭く蹴り込む右足のキックという二つの「嫌がらせるアクション」で、苦しいチームを引っ張っていかなければならない。

写真◎J.LEAGUE


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