明治安田生命J2リーグ第17節で、「最強明治」と呼ばれた今季の明治大卒ルーキーがまた一人、活躍した。東京ヴェルディ戦で愛媛FCの守護神としてデビューした加藤大智だ。超攻撃的な相手を完封して最高のスタートを切った。

上写真=東京V戦、味の素スタジアムで加藤がデビューを果たして完封勝利(写真◎J.LEAGUE)

「背後のスペースを守る」

 安部柊斗、中村帆高が味の素スタジアムをホームとするFC東京で活躍中、サガン鳥栖の森下龍矢が味スタで行われたJ1第8節のそのFC東京戦で見事なミドルシュートを叩き込んでチームの今季初勝利に貢献し、今度はこの男の登場だ。

 J2第17節の東京ヴェルディ戦で、初めて愛媛FCのゴールマウスを守ったのが加藤大智。「最強明治」と呼ばれた今季の明治大卒のルーキーが、またもや味の素スタジアムで勇躍した。デビューの地が明治の同期たちが活躍し、大学時代の練習グラウンドからほど近いここであったことは、何かの必然だろうか。

「自分にとっては特別な試合になりますけど、愛媛の勝利のためにという気持ちで、プレーやメンタリティーはいつも通り臨めました」といたってクール。「緊張はなかったのですが、試合勘のところで普段とずれはあったので、何とか修正しながらというのは考えていました」と丁寧に臨んだ90分は、守備陣にとっては最もしびれる結果と言える1-0だった。

「今回のクリーンシートは自分だけではなく出ていた選手、ベンチに入っていた選手、スタッフなど、みんながハードワークでつかんだもので、その一人になれてうれしいです」

 この試合で川井監督は厳しいマンツーマンディフェンスで相手を封じ込むプランを選手に託したが、陣形をコンパクトにするためにはディフェンスラインを高く保つことが必要になる。そうなれば、必然的にGKとの距離は開く。そこで、加藤の出番だ。

「今日は自分たちもハイプレスに行く中で、広く守るという自分の特徴を出そうと思っていました。背後のスペースを守るということを意識しました」

 愛媛はそもそも、落ち着いてボールをつなぎながら組み立てていくスタイルで、東京Vの永井秀樹監督も試合前日には「最終ラインからボールを大事にしてくる相手」と警戒していた。それが、虚を突くような大胆なシフトチェンジ。逆に、加藤のこの特徴があったからこそ、マンツーマンディフェンスに踏み切ることができたと言えるかもしれない。

 一度だけ、肝を冷やしたシーンがある。74分、自分たちのゴールに近いところで回していると相手のプレスの餌食になり、加藤のパスが小池純輝に渡ってしまった。そこからつながれて放たれた井出遥也のワンタッチシュートはわずかに左に切れていって胸をなでおろしたが、「ストロングはウイークになる可能性ある」と反省しきり。ただ、「あれをやめるのは愛媛では考えられない。ミスは出てしまいましたが、次につなげればいい」とミスを恐れない姿勢を口にした。

「特徴であるビルドアップのところはうまく出せませんでした。愛媛らしいサッカーはできなかったけれど、割り切って勝てたのはよかった」

 デビュー戦の完封勝利が授けてくれたのは、大きな自信だ。この勢いをかって、ホームに2位のギラヴァンツ北九州を迎える次節でも存在感を示したい。北九州には明治大の同期でキャプテンだった佐藤亮がいる。ゴールを割らせるわけにはいかない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE/Getty Images


This article is a sponsored article by
''.