上写真=同点弾をアシストするなど田口は自らの持ち味を発揮したが、勝利はつかめなかった(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月2日 J2リーグ第16節(観衆1,758人/@フクアリ)
千葉 2-2 福岡
得点:(千)ゲリア、新井一耀
(福)増山朝陽、フアンマ・デルガド
もっと勝ち点3に対する強い気持ちを
またしても、勝ち切れなかった。つかみかけた勝利は、アディショナルタイムにするりと手から落ちてしまった。先行を許しながらも前半終了間際、そして後半開始早々にセットプレーから得点し、千葉は逆転に成功した。その後はタイトな守備で福岡の攻撃をしのぎ、いよいよ勝ち点3を手にできる…そう思った矢先だった。
90+6分にゴールを決められ、試合終了。2-2で引き分けることになった。FKのキッカーとして、ゲリアの同点ゴールをアシストした田口は自戒を込めて言った。
「最近はこういう試合が続いていて、チームとしても、個人としても、反省して今日の試合に臨んだはずが、また同じことを繰り返している。一人ひとりの意識を変えなければ、厳しい」
例えば8月2日のホーム、群馬戦。90+5分に失点し、相手に勝ち越されて敗れた。そして8月23日、同じくホーム徳島戦。この試合でも90+4分に失点し、試合を落としている。田口が「同じことの繰り返し」と言ったのは、アディショナルタイムに失点して勝ち点を失い続けているからだ。
「結局、やられ方が一緒なんで。勝ち越して、リードしている状況で最後に5バックにして、失点して追いつかれたり、逆転されたりの繰り返し。今日もサイドからのクロスでヘディングされてやられたけど、サイドにあるボールに対してアプローチにいけなくて、そうやって崩されて、CKとかで失点している。『中』の勝負だけではなく、それ以前のところもチームとして反省しなければいけない」
序盤に先制されながらも、チームはアグレッシブなプレーを続けて同点に追い付き、そして逆転して90分間を過ごした。あと数分、時間が経過すれば、勝利が手に入るはずだった。なぜ、耐えきれないのか。なぜ、最後に失点するのか。選手一人ひとりの意識は変わっているようで、変わっていなかった。同じ過ちを繰り返している現実を前にして、田口はそう理解するしかなかったのかもしれない。
試合を通じてのシュート数は千葉の11本に対し、福岡は8本。CKは7本対3本で、直接FKにいたっては19本対5本。数字上からも分かる通り、千葉はよく攻め、優位にゲームを進めた。2-1と逆転に成功したあと、追加点を奪うチャンスも何度かあった。
「チャンスはあった中で、仕留め切れなければこういう結果になる。それは、みんなが感じていると思う。今日に限らず、何試合もこういう試合をしているので本当に残念」
ホームでの2度の悔しい敗戦を教訓としていたはずだが、福岡戦の結末は、それができていないことを証明する形になってしまった。
「3点目を取れればゲームを終わらせられたと思う。そういうところを全員が自覚して、勝ち点3に対する強い気持ちをピッチで出さなければいけない」
田口は危機感を募らせ、反省と厳しい言葉を何度も口にした。今、チームが変わらなければ、目標は遠のくばかり。同じミスを続けているうちは、昇格など望めないーー。
取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE