明治安田生命J2リーグ第8節でアルビレックス新潟は東京ヴェルディのホームに乗り込み、最後になんとか追いつく形で1-1のドローに持ち込んだ。7月21日に移籍が発表され、この試合で初先発した中島元彦が誇る自信の言葉。

上写真=移籍8日後でフル出場。中島が新潟の新しい武器になる(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月29日 J2リーグ第8節(@味スタ:観衆1,512人)
東京V 1-1 新潟
得点:(東)高橋祥平
   (新)渡邉新太

「サッカーIQの高さで補っている」

「求められていることは100パーセントできていると思います」

 自分を大きく見せようとして声を張るような口調でもない。自然に、淡々と、上空からじっと自分自身を見つめいているような、そんな静かな口調で中島元彦は言った。

 セレッソ大阪から育成型期限付き移籍でアルビレックス新潟に加わることが発表されたのが7月21日のこと。その4日後の25日には水戸ホーリーホックとのホームゲームに62分から出場して1-0の勝利に貢献、今度は29日、アウェーでの東京ヴェルディ戦に先発フル出場しているのだ。とんとん拍子で階段を駆け上がっている。

 記念すべき初先発のゲームでアルベルト監督からは、ボランチに入って「ボールを動かすことを求められましたし、自分たちのリズムを作ってくれ」という指示があったという。「後半の途中までは存在感を出して関わることができましたけど、後半に選手が交代してサイドハーフに移ってからはボールに関われず活躍できませんでした。そこが課題」だとして、自己評価は60点と辛めにつけた。

 東京Vの独特の攻撃への対応は、チームとしてプランニングできていた。「自分たちで守備でスイッチを入れて、後追いになるのではなく自分たちで奪うこと」を目指していて、「前半はできていたと思う」という実感を口にする。だが、攻撃では「ボランチでは自分からボールを受けることが多かった」のに、55分に一気に3人が交代した影響で右サイドハーフに移ってから関われなくなったのは、「自分がもっと要求できればよかったと思います。立ち位置で課題が残りました」とポジションの違いで景色が変わり、ボールの引き出し方に物足りなさを残したからだと分析している。

 もちろん、合流からまだわずかで、適応にも相応の時間はかかるだろう。しかし、中島自身に不安はなさそうだ。「秘訣はサッカーIQの高さで補っていること。チームメートの特徴をつかめばいいし、そうすればもっと良くなっていく」ときっぱり。

 若さゆえの怖いもの知らずなのか、それとも定評のあるC大阪のアカデミーで勝ち抜いてきた自信なのか。どちらにしても、ピッチの上で輝きを見せ始めているのは間違いない。すっかりアルベルト監督からの信頼を得た背番号13は、悲願のJ1昇格を達成するための新たなピースとなって、「100パーセント」のその先へと突き進んでいく。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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