アカデミー出身のDFが2012年以来、緑のユニフォームを身に着けている。冷静沈着な背番号6は、フラットな目線で再開初戦のFC町田ゼルビアを見ている。彼らを破る秘策はあるのか。

町田は「まとまってるな」

 6月27日のJ2再開初戦、FC町田ゼルビア戦まであと4日。最後の調整に向かう23日の練習後にオンライン取材に応じた高橋祥平は、落ち着き払っていた。

「練習試合の3試合を通して、攻撃面に関してはどんどんチャレンジしていった結果、みんなが統一してできていると感じています」

 自身が統率する守備の話よりもまず、攻撃面での成果を口にする。それだけヴェルディらしい魅力的な攻撃サッカーに手応えを感じている証拠だろう。

 再開初戦は「東京ダービー」。相手の町田についても、練習試合の配信映像などをチェックして分析に余念はない。

「まとまってるな、と感じました。守備が堅いという印象があって、僕たちは練習試合でも押している局面で崩していくところが課題でもあったので、町田は堅いから引いて守ってくるかな、それとも前からどんどん守備に来るかもしれないな、といろいろ想定しながら見ていました。ただ、僕たちがボールを持つ時間が多くなると思います。そうなったらどんな絵が頭に描かれていくのか、その部分を攻撃陣に期待したいと思います」

「攻撃陣にはいろんなアイディアがあると思います。崩すパターンもたくさんあって、自分たちのサッカーをやり通すビジョンもあります。そこを4週間、問い詰めてきた結果を出さなければならないですし、もちろん僕たち守備陣が点を取れないわけではなくて、セットプレーで取れるところは強みだと思います」

 アイディア豊富に堅守を崩し、かと思えば勝負師らしくシビアにセットプレーで叩き込んでみせる。すぐそこに迫った「最初の決戦」のイメージはできている。

変化に対応するために

 まずは無観客で試合が行われ、5人まで交代できる新ルールが適用される。これまでとは異なる対応が選手にも求められるが、準備は整っている。前者に必要なのは「気持ち」だという。

「無観客というのは初めてやることになるので、正直なところ、練習試合に近いかもしれません。そこで気持ちをどう持っていくかは自分たち次第です。無観客だからといって、気持ちを落とさずにやっていきたいです。ファン・サポーターのみなさんがいないのは寂しいけれど、状況が落ち着いてくれば来ていただけるので、それまでは自分たちがしっかり結果を出していきたいと思います」

 そして後者については、非常に現実的な判断を下している。

「自分たちは誰が出てもやっていくサッカーは変わりません。どの選手でも同じパフォーマンスができるようにしているんです。だから、もちろん90分、出場し続けることも大事だけれど、交代枠が5人になったことでチームのために動ける選手が使えればいいと思うんです」

 プレーし続けることのプライドを忘れずに持ちつつ、勝利のために、チームのために交代を効果的に使うことが必要だ、というわけだ。

 そんな高橋の冷静さが、緑のクラブに「賢さ」をもたらすだろう。

「あと2週間ぐらいで試合に出たい」森田晃樹

画像: 写真◎東京ヴェルディ
写真◎東京ヴェルディ

   
 若きMF森田晃樹が復活を狙っている。今季は負傷もあって調整が続いていたが、ようやく全体練習に合流できたという。
「フィーリングはまだ合っていないというか、ボールタッチが大きくなったり細かいところで狂っている感じはあります」と慎重で、「現段階では感覚を取り戻すことにフォーカスして練習している感じなので、チーム全体としての共有は大事ですが、自分はまだ戻りきっていないので」と冷静な自己分析だ。
 とはいえ、過密日程の今季は必ず出番があると先を見据える。「チーム全体として全員が同じレベルでサッカーができないといけない。チーム全員の力が必要だと思っている」「来週か再来週には試合に出られるようにしたい」。その時に向けて意欲は隠すつもりはない。


This article is a sponsored article by
''.