あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第6回は、専修大の黄金期を守備で支え、プロに進んだDF栗山直樹だ。

上写真=専修大時代のDF栗山。大学3年時に2冠を達成した(写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

文◎杉園昌之 写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子、J.LEAGUE

スカウトも惚れた守備力

 専修大の黄金期を支えた貴重な一人だ。この硬軟自在のセンターバックがいなければ、11年度の関東大学リーグとインカレの2冠達成はなかったかもしれない。

 当時は町田也真人(現・大分トリニータ)、長澤和輝(現・浦和レッズ)、仲川輝人(現・横浜Fマリノス)らの攻撃陣にスポットライトが当たっていたものの、栗山直樹の果たした役割も大きい。最終ラインを引き締め、1対1ではほとんど負けなかった。特に空中戦では無双。闇雲にクリアするだけでなく、ことごとくマイボールにした。

「上半身でコントロールして、ヘディングができる」

 専修大の源平貴久監督は、その技術の高さをよく褒めていたのを思い出す。大学リーグに申告していた身長は178cm(現在、モンテディオ山形では180cmで登録)。大学トップレベルのCBとしては小さい部類に入ったが、本人は上背を卑下することはなかった。

「競り合いで負けると思ったことはほとんどありません。ヘディングでは絶対に負けたくない。僕の持ち味なので。落下地点に素早く入ったり、助走をつけて飛んだり、この身長でも勝つためにいろいろと考えてプレーしています」

 いち早くオファーを出し、獲得に成功した千葉の斉藤和夫スカウトは、サイズだけで判断せず、その守備センスを高く買っていた。

「サイズを補える能力を持っている。いま、大学ではナンバーワンのセンターバックだと思う」

 当時、千葉を率いていた木山隆之監督(現・ベガルタ仙台監督)も、その才能に惚れ込んだ一人。同じような体格のDF今野泰幸(現・ジュビロ磐田)を引き合いに出していたほどだ。

「あのサイズでもプロで十分にセンターバックとしてやっていける。空中戦だけではなく、ビルドアップもうまい」


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