今シーズンより東京ヴェルディで強化部長を務めることになった江尻篤彦氏は、昨季は監督としてジェフユナイテッド千葉を率い、外から対戦相手としてヴェルディを見ていた。チームの現状と補強ポイントについて聞いた。

上写真=東京ヴェルディの強化部長に就任した江尻篤彦氏(写真◎BBM)

キャンプで見極める

 江尻強化部長は、1月20日に行なわれた新体制発表の場で「(自分の仕事は)新加入選手、既存の選手の能力を100パーセント引き出すこと。今現在の補強はベストな選手が来てくれていますが、(移籍)ウインドーが閉まるまで、しっかり私自身がチームとほかのクラブの選手を見ながら、大学生も含めてみていきたいと思います」と語った。

 新体制発表後、あらためてチームの現状や補強の見通しについて話を聞いた。

「補強というのは、キャンプに入ってからまた考え方が違ってくるものです。だから、どこがさらに補強しなければならないポイントかということも、変化するかもしれないし、そこは監督と話をしながら見極めていきたい。もちろん、話した通り、ウインドーが開いている間は最大限の努力をしたいと思っています。必ず選手を獲るということでもないですし、最初の段階で選手をそろえて終わりと考えているわけでもありません。私は必要に応じて手を尽くしていくという考えでいます。
 当然、私は監督もコーチも経験しているので、キャンプに入ってみてイメージが違うと感じるケースを知っています。ですから、私の立場としては、そういう場合にすぐに対応できる準備をしたい」

 あくまで「補強はこれから」としたが、キャンプに入る前段階でも、すでにいくつかの考えを整理していることがうかがえた。江尻強化部長は、チームの目指すべきスタイルに照らして、何が足りていないのか。そもそも選手の獲得で解決できることなのか。その見極め作業を続けている。

 昨シーズン、江尻強化部長は3月に更迭されたフアン・エスナイデルの後任としてジェフユナイテッド千葉の監督を務めた(2009年‐2010年に続き2度目の就任)。同じくシーズン途中の就任になった東京Vの永井秀樹監督とは40節に対戦し、0-0で引き分けている。永井監督が目指すサッカーについても、あらためて聞いた。

「(新体制発表の場で)監督自身が言っていたように、日本人の特長を引き出したサッカーを目指していると感じていました。具体的に言えば、ポゼッション率を上げることをまず目指して、実践しているなと。それで実際にチームの内側に入ってみたら、去年の課題だった部分も修正しながらトレーニングに励んでいる。吉武博文コーチも新たに入って、監督が、まだまだいろんなことをやっていきたいと思っていることがその考えを口するだけではなく、行動からもはっきり分かります。永井監督は現状に立ち止まっていない指導者だと思います。
 昨季の課題だった部分というのは、点を取ることです。ボールをキープしているだけでは勝ち点を取れません。この間の、森保(一)監督のU-23代表の試合もそうですが、どんな相手だって最後の部分ではやらせたくないから分厚く守ってくる。だから思い描いたとおりにいかないし、それがサッカーの難しさ。当然、見ている方はストレスを感じると思いますが、どのチームも苦労しているこの問題に関しても、永井監督は今、もう一段二段、上を目指そうとトライしています。20本、30本のパスが通ってゴールが決まるに越したことはないですが、そんなケースはほとんどないですからね。レアルでもバルサでもユーべでも。
 ボールを失ったときの切り替えが重要になってきますが、『切り替え』と言っている時点で、もう遅いわけです。攻守が一体になっているという理解の中で、チームがプレーできるようにと、それを目指していますから。その部分は、私もしっかりと見ていきたいところですし、それが実際にこのJ2リーグで通用するものかも見ていかなければならない。そういう視点に立って、必要な選手とはどういう選手なのか。監督と話しながら手を尽くしていきたいと思います」

 チームは今日、26日から沖縄でキャンプイン。実戦形式のトレーニングを増やしながら、2月23日の開幕戦(徳島ヴォルティス戦)に備える。

「(すでに終わった補強に)私はまだ深く関わっていないですが、良いメンバーが来てくれたと思っています。ただ、先ほども言ったように、チームは今はベストですが、それが今後もベストだという考え方ではいけないと思うので、状況をしっかり見ながら、やっていきたい。キャンプでは別の課題も出てくるでしょう。ケガ人も出るかもしれません。状況に素早く分析し、対応できるようにしたいと思います」

 江尻強化部長は、J1復帰を目指す永井ヴェルディのキーマンの一人だ。チームはどんな陣容で開幕を迎えるのか。

取材◎佐藤 景


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