水戸のホームに乗り込んだ琉球は、前半に2点をリードされるも、後半にセットプレーから増谷幸祐のゴールで1点差に詰め寄る。しかし、74分に水戸の新加入・小川航基に3点目を奪われ、敗北を喫した。

上写真=Jリーグ初出場となった琉球のGK猪瀬(写真◎J.LEAGUE)

■2019年7月21日 J2リーグ第23節
水戸 3-1 琉球
得点者:(水)黒川淳史、志知孝明、小川航基 (琉)増谷幸祐

1年ぶりの公式戦先発出場

「18歳の選手がデビューするときは、勝ち点3で(デビュー戦を)飾らせてあげたかったなという思いです。3失点はキーパーとして責任を感じるかもしれませんが、彼は本当に落ち着いて、普段のトレーニングを実践しようとしていました」

 試合後の会見で琉球の樋口靖洋監督は、この日J2リーグ初先発を飾ったGK猪瀬康介の活躍ぶりを称えた。「トレーニングを見ていて、十分に出来るという手応えは持っていた」と、高卒1年目のルーキーを大抜擢した。

 猪瀬本人も、指揮官の信頼に応えようとピッチに入った。「(樋口)監督の信頼を感じます。一日一日の練習を大事にすることを意識しているし、最終的に(スタメンを)選ぶのは監督だったり、キーパーコーチですけれど、(先発出場を伝えられて)とにかくひたむきにやることだけを考えていました」

 3失点での敗戦について、「1失点目、2失点目はコーナーキックからだったので、あそこでパンチングをしていれば、と。たぶん、これまで試合に出ていたダニ(カルバハル)選手だったり、石井(綾)選手だったら、パンチングで弾いていたと思います。でも、僕は一歩引いて、準備をするために構えてしまった。ああいうところでもっと強くチャレンジできればよかったのかなと思います。3失点目の際どいシュートも止められないと、J2やJ1で活躍できるキーパーにはなれない」と、悔しさをにじませる。

 それでも、決して悲観してばかりいるわけではない。「僕はネガティブにばかり考えないようにしています。シュートストップだったり、パントキックでカウンターにつなげたり、そういった僕の得意なプレーはできた場面もあったので、自信を持ってこの先もやっていきたいです」と、次戦を見据える。

 プロ入り前は千葉県の流通経済大柏高でGKとしての能力を磨いたものの、3年次の後半は下級生の台頭もあり、ベンチに座る日々が続いた。そのため、公式戦での先発出場は「昨年の7月15日。鹿島アントラーズユースとの(高円宮杯)プレミアリーグEASTの試合(○1-0)が最後ですね」と言うのだから、およそ1年ぶりだ。

「琉球に来ても、なかなかトレーニングマッチはできなかったし、フル出場する機会もなかなかった。その中で、とにかく集中を切らさないようにと意識していました」と、試合出場の準備を進めてきた。

 Jリーグ・デビューという第一歩を踏み出し、次なる目標はチームのレギュラーを勝ち取ることだろう。

「ビルドアップだったり、琉球のスタイルに合うような、攻撃的なキーパーを目指して、これからも一日一日を大事にしていきたいと思います」

 プロの舞台でゴールマウスを守り続けるため、猪瀬はこれからもトレーニングに励む。

取材◎小林康幸

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