上写真=長沢駿が交代から7分で同点ゴールという結果を残してみせた(写真◎J.LEAGUE)
■2025年6月21日 J1第21節(観衆:12,954人@三協F柏)
柏 3-3 京都
得点:(柏)小泉佳穂、垣田裕暉、原田亘
(京)米本拓司、長沢 駿、川﨑颯太
「もう本当に完璧」
その瞬間は、53分に訪れた。
スローインの流れで左サイドから原大智が右足でクロス。相手の頭を越えてゴールに向かう軌道に合わせて、長沢駿が飛び込んだ。相手の裏に回りながら、ボールが来る瞬間に前に出たところで勝負あり。ダイビングヘッドでたたいたボールはGK小島亨介を弾いて飛び込んだ。後半開始からピッチに立ってわずか7分後の一撃。
「大智がいいボールをくれましたからね。僕らしい入り方を大智が分かってくれてうれしいです。もう本当に完璧だったので、大智に感謝したいと思います」
これが、自身のJ1における通算50ゴール目。2021年に大分トリニータで48ゴールまで積み上げたあとは、昨年までJ2でプレーしてきたから、時間がかかることになった。
「48点というのは大分時代から分かっていましたし、そこからはJ2だったので、まさかこういう形で50点を取れるとは。ちょっと心のどこかにモヤモヤしたものを感じていて、(京都に移籍して)またJ1でできるチャンスをもらって、自分の中でちゃんと50点を取りたいと思っていたので、すごくうれしい気持ちと、ちゃんとやっていれば必ずこういう風に日の当たることはできるんだなと」
36歳の苦労人の本音がこぼれ落ちるが、ここで話は終わりではない。このゴールで2-2に追いつきながら、74分にまた突き放されてしまう。しかし、ここからが「チームのために戦う」ポリシーを貫く長沢の真骨頂なのだ。
84分、左サイドで奥川雅也が受けて少し戻りながら中を見たときに、長沢は再びゴール前にダッシュした。だが今度は、頭上をゆくボールにわずかに届かない。しかし、その背後から走り抜いた川崎颯太が追いついて、ボールをねじ伏せるように送り込んだ。3度目の同点ゴール!
「クロスに入ると、僕の後ろって必ず空くんですよ。いつもそう言ってきましたし、颯太がそこを嗅ぎ分けて入ってくれたことはでかかった。点を取っていたからかもしれないけど、僕が入っていくことによって2人は引き連れたと思うので、これからのチームの形になっていけば。僕が取らなくても周りが取れるのは、強い武器になったかなと」
自分でゴールを決めることも、自分がおとりになって味方がゴールを決めることも、どちらもチームに結果をもたらすために重要なこと。プロ19年目でますます研ぎ澄まされる実直さが、そのことを雄弁に物語っていた。