上写真=7月から愛称が「メルカリスタジアム」となる茨城県立カシマサッカースタジアム(写真提供◎鹿島アントラーズ)
「より親しみのある場所にしていきたい」
2025シーズンを首位で折り返し、9季ぶりのリーグ優勝に向けて後半戦の戦いに臨む鹿島の本拠地の愛称が、新たに「メルカリスタジアム」となる。スタジアムの正式名称は「茨城県立カシマサッカースタジアム」から変わらないが、株式会社メルカリのネーミングライツ取得により、Jリーグをはじめとする鹿島主催試合やイベント開催時における愛称は7月1日より変更となる。略称も“カシマ”から“メルスタ”へと生まれ変わる。
「この県立カシマサッカースタジアムは1993年4月に、その第一歩を踏み出しました。このスタジアム無しには、鹿島アントラーズも無かったといっても過言ではありません。私たちにとって最も大切な“勝利”という伝統を、未来永劫、末永く守り続けていくことが大事です。熱量の高いこのスタジアムを維持し、さらに発展させていくこと。観客の体験価値を拡大することに、今後も尽力していきたいと思っています」
鹿島の小泉文明社長は今回のネーミングライツ契約に際し、6月19日の記者会見でそのようにコメントした。
また、同席した茨城県の大井川和彦知事は「ネーミングライツについてはカシマサッカースタジアムに限らず、茨城県のすべての施設に導入する方法を模索していました。さまざまな候補者の中から、我々としてはメルカリさんにご提案いただいた条件が最も良いと判断し、決定しました」とネーミングライツ契約に至った経緯を説明。株式会社メルカリ執行役SVP of Japan Regionの山本真人氏は「今後もメルカリが鹿島アントラーズと、この地域社会に深くコミットしていくことを示すための大きな一歩として、ネーミングライツを取得しました」と明かし、「企業名であり、すでに多くの皆様にご利用いただいているサービス名“メルカリ”の名前をシンプルに活用することで、この歴史のあるスタジアムをファン・サポーター、そして地域の皆様にとって、より親しみのある場所にしていきたい」と新愛称への思いを話した。
「メルカリのサービスも使っていただけるような形に」
このネーミングライツ契約年数は3年間(2025年7月1日~2028年6月30日)。契約に際する金額は年間1億5千万円であることも発表された。メルカリの山本氏は「今回、ネーミングライツを取得したことを機に、というわけではないのですが」と前置きをしつつ、「私どものサービスであるフリマアプリ以外にも、メルペイなどの決済サービスや、メルカリハロによるスキマバイトの機会創出など、さまざまなサービスを展開させていただき、そういったサービスを直接的にスタジアムや鹿島アントラーズと連携して、このスタジアムに来てくださる方々、アントラーズのファン・サポーターの方々に、よりいっそう、メルカリのサービスも使っていただけるような形になるように進めていきたい」と、メルカリ社のサービスのさらなる提供を目指している。
鹿島の小泉社長も「テクノロジーや、スマートフォンのアプリケーションをベースに循環社会の実現を目指していくメルカリ社と、一方でどちらかというリアルな社会、地域社会を中心に循環社会をのぼっていく鹿島アントラーズですが、実は同じ世界観を描いていると思っています。そのため、今回メルカリ社がスタジアムネーミングライツを取得したことにより、その連携がより加速していくことが非常に楽しみな点です」と期待を寄せる。そして、「パートナー企業の技術も駆使しながら、また、茨城県の皆様とも連携していきながら、テクノロジーをうまくスタジアムに活用させていきたいと思っています」と言葉に力を込めた。
「このスタジアムでこれまで20冠を獲得しました。これからも強い伝統というものをしっかりと維持し、今後も引き続きファン・サポーター、地域、そしてパートナー企業の皆様とともに、新しい歴史を歩んでいきたいと思っています」(鹿島・小泉社長)
鹿島の“メルスタ”での初陣となるのは、7月20日のJ1第24節柏戦。優勝を争うライバルチームとの対戦から、Jリーグの頂点へ向けた“メルスタ”での戦いが始まる。

会見に出席した(右から)鹿島の小泉文明社長、株式会社メルカリ執行役SVP of Japan Regionの山本真人氏、茨城県の大井川和彦知事(写真提供◎鹿島アントラーズ)