川崎フロンターレの鮮やかな攻撃は見る者を楽しませるが、それを下支えする守備の安定を忘れてはいけない。5月18日に行われた明治安田J1リーグ第17節ではセレッソ大阪にゴールを許さず、今季のJ1で6試合目のクリーンシートを達成した。その中心に丸山祐市がいる。

上写真=丸山祐市の存在感が抜群。充実ぶりはこの笑顔からも伝わってくる(写真◎Getty Images)

■2025年5月18日 J1第17節(観衆:22,070人@U等々力)
川崎F 2-0 C大阪
得点:(川)エリソン2

「ピッチに立ち続けなければ」

 川崎フロンターレがセレッソ大阪を突き放したのは、終盤に一気に決めたエリソンの2ゴールによってだ。85分の先制点のすぐあと、88分に決めた追加点が大きかった。

 自陣でスローインを受けた丸山祐市がそのまま、ロングキックで前線まで一気にボールを飛ばした。バウンドして跳ねたボールにエリソンがヘッドで食らいつき、飛び出してきたGKの頭上を越してがら空きのゴールに送り込んだ。

「パスだ、と言いたいですけど、パスというかクリアには近いですね。でも、監督から相手の背後に落とすようなボールを送るように今シーズンを通して言われてきていて、いい感じに落とせたと思います。あとはエリソンがしっかりと決めてくれたので、本当にエリソンに感謝ですね」

 絶妙なアシストにも丸山は謙遜するばかりだが、そのひと蹴りが勝利を確実なものにしたのは確かだ。

 ただ、さすがはセンターバック、クリーンシートで終えたことに胸を張った。

「ここのところ失点が続いていて、毎試合そうですけど、失点をゼロに抑えることは常に意識しながらやっています。90分を通してピンチもチャンスもあって、そのピンチをしっかりと消したというか、守れたというのはすごく大きかった。それに、エリソンもしっかりと2点決めてくれたので、本当にいいチームだなと」

 そんな「いいチーム」を支える一人が、丸山である。

 6月で36歳になるが、今年はとにかくうれしい忙しさだ。J1で12試合、ACLエリートではグループステージ第7節とラウンド16の2試合、サウジアラビアでの準々決勝から決勝までの3試合と計18試合でピッチに立って、しかもすべてにフル出場している。どの試合でもミスの少ない安定したプレーで最終ラインからチームを下支えしていて、まさにこのチームの屋台骨。

「コンディションについては、ケガに気をつけながらという部分はありますけど、ちょっとしたミスでポジションは奪われてしまいます。年齢的にもいいパフォーマンスをずっと出し続けることでチームにいい影響を与えられると思いますし、チームの勝利に貢献できるために、今年はしっかりとピッチに立ち続けなければいけないという思いがあります」

 4月12日の第10節、清水エスパルス戦でJ1通算250試合出場を達成した。リーグ戦では2016年のFC東京時代、2020年の名古屋グランパス時代の34試合がキャリアハイ。今年はこれに近づこうかというハイペースだ。それだけの試合を戦う自分の心身をコントロールするのに、コツなどないという。あるのは危機感。

「なにか特別なことはこれと言ってないです。僕は毎試合、これが最後だと思ってずっとやってるので、それがいい集中力につながっていると思います。一つのミスでゴールを決められてしまうポジションなので、それは気を付けながらずっと集中して、いまはいい状態できていますね」

「最後」を自分に突きつけることで、研ぎ澄まされる。いまの年齢と同じ「35」を背負う男の風格が、もう一度アジアの頂点に挑もうとするチームを支えていく。


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