上写真=何度も好守でチームを救った前川黛也。しかし勝利を手にすることはできなかった(写真◎J.LEAGUE)
最後の最後でまさかの失点
悔しい敗戦になった。試合内容を振り返れば、神戸は前半から何度もチャンスを作り、FC東京のゴールに迫った。しかしネットは揺らせず、逆に後半のアディショナルタイム、90+13分にPK一発に泣くことになった。
「けっこう押し込めていて、セットプレーのチャンスも多かった。(PKを与えた場面は)前がかりになってたところで、リスク管理が不十分だった。相手が狙っているのに対して、自分たちはしっかり戻れていたかというと少し遅れているところもあったので、そこの管理というのは僕も含めてしっかりやっていかないといけない」
最後の最後で失点したことについて、GK前川黛也はこう振り返った。
相手GK波多野豪のキックから仲川輝人に抜け出され、シュートを打たれた。前川がセーブしたが、こぼれ球を安斎颯馬に拾われ、ゴールを狙われてしまう。本多勇喜がスライディングでブロックしたが、その際にボールが右腕に当たった。故意ではなかったものの、神戸は試合終了間際に痛恨のハンド。PKを献上することになってしまった。
それまで、前川自身は再三の好プレーでゴールにカギをかけていた。27分には白井康介の抜け出しからのシュートを右足一本でストップ。40分にはマルセロ・ヒアンの突破に反応して距離を詰め、シュートを封じている。
後半も58分にカウンターを浴び、ヒアンから佐藤恵允つながれて最後は1対1の状況になったが、体を広げてシュートコースを消し、ゴールは許さなかった。さらに81分だ。安斎のシュートが味方に当たり、コースが変わったが最後まで粘って軌道を見極め、右足を当てて失点を食い止めた。4回はあった絶体絶命と言っていいピンチを、前川は優れた判断とスキルで防いでみせた。
「毎試合あのようなシチュエーションでも落ち着いて止められるように準備はしています。特に今シーズンは、そういったピンチがあるところをしっかり防げているので、本当に練習の成果が出ているなと。ディフェンス陣も(シュート)コースを切っていたり、最後まで戻ってきてくれて防いだ後にしっかりケアしてくれている。そこは自信を持ってやれていますし、その点は今日は特に良かった」
好プレーで試合を引き締めた。だが、敵地から勝ち点を持ち帰る寸前で失点。結果、チームは今季初めて連敗を喫することになった。
「前回の負け方が良くなかったので、今日はしっかり勝って、チームを調子づかせたかった。最後に、あのような形で負けてしまいましたが、今日は全体を通して防げたところもありますし、チャンスも多く作れていた。マイナスばかりではないと思います。そういう部分をしっかり生かして積み上げていきたい」
前川は課題を踏まえたうえで、ポジティブな要素に言及した。次戦はホームのガンバ大阪戦(5月17日)。最後尾からチームを支える守護神は、「マイナスばかりではない」内容を、次こそはしっかり結果につなげると誓った。