4月26日、明治安田J1リーグ第12節でアルビレックス新潟は柏レイソルとアウェーで戦って1-1のドローで終えた。先制しながら追いつかれる展開は悔やまれたが、この試合で今季初先発を果たしたのが高木善朗。チームの顔であるこのMFが日立台のピッチで見せたものとは。

上写真=高木善朗が今季初先発。攻守をつなぐ役割を果たした(写真◎J.LEAGUE)

■2025年4月26日 J1第12節(観衆:13,030人@三協F柏)
柏 1-1 新潟
得点:(柏)渡井理己
   (新)小見洋太

「どれだけしんどい思いをして」

 高木善朗が帰ってきた。

 リーグ戦の先発出場は昨年10月以来。ピッチの真ん中で高木ならではのプレーを見せた。

「攻撃に特徴のある相手だったので、守備のところのプレッシャーの行き方と、ボールを持ったときに中継地点としてうまくできるようにと思ってプレーしていました」

 長谷川元希とともに前線で攻撃を担ったが、どちらかといえば長谷川が前に出てトップ下の役割を与えられた。確かにここに高木が入ると、中央を経由して右に左にボールが動く。キックオフからハイテンポでボールを回して柏レイソルを翻弄したのは、その存在があってこそだった。

 ただ、勝ちきれなかった。高木も自分自身のプレーにすべて納得したわけではない。

「もう少し引き出せればよかったかなと思うところはあります。点に絡むことができなかったのでそこは残念でしたけど、次につながるプレーはできたかな」

 難しかったのは、バランスだという。先制したあとで柏に押し込まれた時間帯は、守備から攻撃につなげるブリッジになろうとボールを求めて下がりつつも、そればかりでは前線に人数をかけられなくなる。

「降りてボールを受けてほしいとは言われていたんです。相手がいい状態でボールを持ってポケットにランニングされて、そこにボランチがついていくと、奪ったときにどうしてもボランチとの距離が遠くなってしまうから。だからもう少し距離感を良くしたほうがいいかとも思いつつ、でも、前線にいないと攻撃の起点にはならないなって…」

 全体を押し上げれば解決するはずの課題も、柏に押し込まれる時間が増えて、32分には同点に追いつかれた。結局、そのまま1-1で引き分け。

 アウェーでの勝ち点1は最悪ではないものの、まだ1勝しかしていないチームにとっては物足りないのも確かだ。シーズンの3分の1ほどとなる12試合を消化して1勝6分け5敗の勝ち点9は、20チーム中19位。

 苦しい状況に身を置くいま、プレー機会はまだ多くはないものの、在籍8シーズン目の高木だからこそできることはある。

「チームに長くいる選手の一人として、今日は絶対に、このチームをJ2に落としたくないっていう必死さをほかの選手に見せることはできたと思います。それがみんなに伝染してくれたらいい。どれだけしんどい思いをしてJ1に上がってきたかを分かる選手もまだいますから、J1に絶対に残すというプライドを持ってやりたい」

 その思いがあったからこそのドロー。この勝ち点1を貴重なものにするために、高木はまた明日からプライドを示していく。


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