明治安田J1リーグ第38節(最終節)が各地で行われ、ノエビアスタジアム神戸では37節時点で首位のヴィッセル神戸と15位湘南ベルマーレが対戦。勝てばJ1連覇が決まる神戸は序盤からアグレッシブなプレーを見せ、宮代大聖、武藤嘉紀、扇原貴宏のゴールで湘南に快勝。攻守に隙の戦いでJ1連覇を果たし、天皇杯との二冠を達成した。

上写真=ヴィッセル神戸はJ1連覇、天皇杯との国内二冠を見事に達成した(写真◎毛受亮介)

■2024年12月8日 J1第38節(観衆27,444人@ノエビア)
神戸 3-0 湘南
得点:(神)宮代大聖、武藤嘉紀、扇原貴宏

優勝する理由をピッチで示した最終節

 最終節を迎えた時点で神戸、広島、町田に優勝の可能性が残されていた。ただ、最も優位な立場にあったのは勝ち点69で首位に立つ神戸だ。2位広島は勝ち点68、3位町田は66で、神戸は勝てば、自力で優勝決められる状況だった。

 前節の柏戦で受けに回ったことで苦しんだためか、神戸は湘南相手の大一番でアグレッシブなスタートを切る。6分、10分と武藤が立て続けにチャンスをつかむと、神戸が早速ペースを握った。

 17分には敵陣右サイドのFKから最後はボックス内で宮代が反転シュート。ゴール右を射抜いた瞬間、満員のスタンドが沸き上がり、ピッチでは神戸の選手たちが歓喜の輪を作った。

 しかしVARの結果、FKのボールをヘッドで左から折り返したM・トゥーレルがオフサイドの判定。ゴールは取り消されてしまう。

 ただそれでも、神戸の勢いは衰えなかった。宮代が今度は正真正銘のゴールを決めてみせる。

 26分、酒井の右からのクロスを武藤がヘディング。鋭いシュートは一度はGK上福元に弾かれたが、跳ね返りに広瀬が反応。相手ともつれる中、こぼれてきたボールを宮代が押し込み、神戸が先制点を奪った。

 他会場では広島がG大阪に先制され、町田は鹿島に先行を許していた。追われる者としてプレッシャーがかかっていたはずだが、神戸は連覇へ向けてさらに前進していく。

 前半終了間際の43分には、シンプルな攻め筋ながらもこれぞ神戸というアタックでネットを揺らした。GK前川のロングフィードを大迫が頭で競り勝ってフリック。落としを受けた佐々木が力強く左サイドを進み、相手DFが詰めてきたタイミングで中へ折り返す。最後は併走していた武藤がきっちり蹴り込み、リードを2点に広げた。

 後半も、神戸はペースを落とさなかった。球際で戦い、常にベクトルを前に向けてプレーしていった。70分にはダメ押し点もマーク。敵陣右サイドのスローインを得ると酒井が入れたボールを大迫がボックス内でポスト役となり、丁寧に落とす。ボックス外で構えていた扇原が左足一閃。豪快にシュートを突き刺した。

 3点を奪って連覇をほぼ手中に収めても、神戸は隙を全く見せない。よく走り、よく戦い、常に相手ゴールを目指す姿勢を貫く。その勢いの前に、湘南はついぞネットを揺らすことができなかった。最終節の戦いぶりに神戸の強さが詰まっていたと言っていい。

 試合はそのまま3−0で終了。終了を告げる笛が鳴った瞬間には、2万7444人の大観衆を集めたスタジアムが大歓声と幸福感に包まれた。

 この結果、神戸はJ1で6クラブ目となる連覇を達成。しかも天皇杯との二冠も成し遂げ(7クラブ目)、Jリーグの歴史にその名を深く刻むことになった。

取材◎佐藤景

▼出場メンバー
・神戸◎GK前川黛也、DF酒井高徳、山川哲史、マテウス・トゥーレル、本多勇喜、MF井手口陽介(87分:山口蛍)、扇原貴宏、宮代大聖、武藤嘉紀、広瀬陸斗(30分:佐々木大樹)、FW大迫勇也

・湘南◎GK上福元直人、DF大岩一貴(46分:岡本拓也)、キム・ミンテ、鈴木淳之介、MF鈴木雄斗(75分:茨田陽生)、田中聡、畑大雅、池田昌生(60分:ルイス・フェリッピ)、平岡大陽(46分:阿部浩之)、FW福田翔生、鈴木章斗(87分:根本凌)

画像: 宮代の先制ゴールを喜ぶ武藤。自身もチームの2点目を奪った(写真◎毛受亮介)

宮代の先制ゴールを喜ぶ武藤。自身もチームの2点目を奪った(写真◎毛受亮介)


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