J1リーグ第17節、横浜F・マリノス対柏レイソルが10日、日産スタジアムで行われた。3連勝と好調の2位横浜FMと5戦未勝利と苦しい戦いが続く17位柏の対戦は激しい撃ち合いとなったが、アディショナルタイムに2ゴールを挙げた横浜FMが4−3で逆転勝利を飾った。

上写真=アディショナルタイムに決めた宮市のゴールが決勝点となり、横浜FMが勝利をつかんだ(写真◎J .LEAGUE)

■2023年6月10日 明治安田生命J1リーグ第17節(@日産スタ/観衆26,946人)
横浜FM 4-3 柏
得点:(横)アンデルソン・ロペス2、エウベル、宮市亮
   (柏)オウンゴール、戸嶋祥郎、フロート

アディショナルタイムに2ゴール!

 3連勝中で好調の横浜FMが5戦未勝利の柏をホームに迎えた。チームの勢いを示すように、先制したのは横浜FMだった。前半13分、右のヤン・マテウスから左に大きく展開。ボックス内で仕掛けたエウベルがシュートフェイントで切り返すと、ブロックにいった立田の残り足がひっかかる形となり、エウベルが転倒。横浜FMがPKを獲得し、アンデルソン・ロペスが3試合連続となるゴールを決め、リードを奪った。

 だが、井原正巳監督就任後初勝利を目指す柏も35分に小屋松の仕掛けからマテウス・サヴィオが狙ったシュートがポストを直撃するなどゴールに迫ってみせる。そして40分、チャンスをモノにした。片山のロングフィードで右サイドを抜け出したM・サヴィオが早いタイミングでクロスを供給。自陣ゴール方向に戻りからの守備を強いられた横浜FMのCBエドゥアルドのクリアはそのままゴールの中へ吸い込まれ、オウンゴールで柏が1点を返した。

 だが、試合はここから起伏に富んだ展開になっていく。柏が振り出しに戻したのも束の間、直後のキックオフの流れから横浜FMが再びリードを奪ってみせるのだ。オウンゴールの当事者になってしまったエドゥアルドが柏最終ラインの背後にボールを送ると、斜めに走り出していたエウベルが自らのスピードを殺すことな抜群のタッチでボールを収め、そのままGKとの1対1を制して蹴り込んだ。シンプルだが技術の高さが詰まったプレーで柏を再び突き放した。

 ハーフタイムを挟み、迎えた後半。取られたら取り返すとばかりに、今度は柏がキックオフ直後にネットを揺らす。短くパスをつなぎながら左に展開し、M・サヴィオがDFとGKの間に鋭いクロスを送る。GK一森が弾いたところに戸嶋が素早く詰めてプッシュ。柏がまたも同点に追いついた。

 その後は柏がやや優勢に試合を進めていくことになった。タイトな守りで横浜FMのビルドアップに制限をかけ、ボールを奪うや相手ゴールを目指すプレーを繰り返す。試合の中盤はアウェーチームの流れにあったと言っていいだろう。自然、次の1点を奪ったのも、追いついた勢いのままアグレッシブなプレーを続けていた柏だった。

 73分、右サイドから片山が送ったピンポイントクロスを、途中出場のフロートがヘディングシュート。横浜FMの2CBに間に入り込み、打点の高いヘッドを叩き込む。ついに勝ち越した柏は守備の局面ではしっかり構えつつ、ミドルゾーンに相手が入ってくると一気に相手を捕まえて横浜FMに流れを渡さない。リードをうまく維持していたが、終了間際にミスから試合の流れを変えてしまう。

 87分、敵陣に入ったところで横パスを受けた立田がコントロールをミス。宮市にボールを奪われると、突破を嫌って思わずファウルを犯してしまう。この一連のプレーで2枚のイエローカードを受けた立田は退場処分に。柏は数的不利を余儀なくされ、横浜FMが怒濤の攻撃を展開するようになっていく。

 アディショナルタイムに突入した90+4分、横浜FMは右サイドでパス交換して柏守備陣にギャップを作り出すと、渡辺のパスを受けた水沼の柔らかいクロスをボックス内に送り、A・ロペスのヘディングを導く。ゴール右下に決まり、横浜FMが3−3の同点に追いついた。

 その直後には柏も、大きく前に出てプレーした横浜FMのGK一森のクリアを拾って、高嶺がセンターサークル内から無人のゴールへロングシュートを放ち、あわやの場面を創出する。だがシュートは惜しくもクロスバーを直撃。勝ち越しのビッグチャンスを逃した。

 横浜FMにも直後にビッグチャンスが到来する。90+7分、自陣から速攻を仕掛け、敵陣内でM・ジュニオール、A・ロペス、再びM・ジュニオールとパスをつなぐと、最後はボックス左のM・ジュニオールから送られたボールを、宮市が中央で受けて右足一閃。シュートは相手選手に当たってゴールの中へと転がった。

 まさに気持ちで押し込んだような決勝点だった。VARを経てゴールが認められた瞬間、スタンドから大きな歓声が降り注ぎ、宮市のもとに横浜FMの選手と仲間が駆け寄った。昨年7月にケガをおい、長期離脱を経て先月24日に10か月ぶりに復帰しばかり。宮市の復帰後初ゴールが、激闘に終止符を打つ決勝点になった。

「気持ちで、最後、魂がボールに乗ってくれてゴールに入ってくれました。こういう景色を待っていたので、みなさんと勝ちを分かち合えて本当に良かったです。チームの総合力を本当に最後の最後まで見せられたと思いますし、諦めなければ何か変わるんだというものを、少しでもみなさんに感じ取ってもらえればうれしいです」

 キャリアの中で何度もケガに泣かされ、その都度、復活を遂げてきた『決して諦めない』宮市の言葉には重みがある。アディショナルタイムに2ゴールを奪って逆転に成功した横浜FMは、今季初の4連勝を達成。1試合消化の少ない神戸を抜き、暫定ながら首位に立った。

▼出場メンバー
・横浜FM:GK一森純、DF松原健、畠中槙之輔(70分:上島拓巳)、エドゥアルド、永戸勝也、MF渡辺皓太、喜田拓也(70分:山根陸)、西村拓真(70分:マルコス・ジュニオール)、ヤン・マテウス(79分:宮市亮)、アンデルソン・ロペス、エウベル(79分:水沼宏太)

・柏:GK松本健太、DF川口尚紀(60分:三丸拡)、立田悠悟、古賀太陽、片山瑛一(85分:土屋巧)、MF戸嶋祥郎、高嶺朋樹、椎橋慧也(74分:中村慶太)、小屋松知哉(60分:フロート)、FW細谷真大、マテウス・サヴィオ(85分:落合陸)


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