9月18日の明治安田生命J1リーグ第30節で、首位の横浜F・マリノスは北海道コンサドーレ札幌を迎えた。台風14号の影響で断続的な強雨に悩まされる難しいコンディションだったが、どちらも最後まで攻め抜く姿勢を緩めることはなかった。しかし、0-0のまま終え、ともに勝ち点1を加えるにとどまった。

上写真=激しい攻防が両チームのゴール前で繰り広げられたが、スコアレスドローに(写真◎J.LEAGUE)

■2022年9月18日 J1リーグ第30節(日産ス/20,341人)
横浜FM 0-0 札幌

画像: ■2022年9月18日 J1リーグ第30節(日産ス/20,341人) 横浜FM 0-0 札幌

札幌は「80年代バルセロナ式」

 横浜F・マリノスも、北海道コンサドーレ札幌も、台風14号の影響で断続的に雨が強くなる環境でも、攻め抜いた。ただ、ゴールだけが足りなかった。

 前半はどちらにとっても悪くはなかっただろう。厳しい5連戦のラストマッチとなるホームの横浜F・マリノスは、アンデルソン・ロペスが水沼宏太のクロスにヘッドで合わせたシュートが、バーを直撃した17分のシーンなど、チャンスはあった。ただ、アウェーの北海道コンサドーレ札幌のほうが優勢だった。

 効いたのが、長距離のパスを駆使した左右の揺さぶりだ。6分にいきなり見せたのが、右の駒井善成から左のルーカス・フェルナンデスへ、そこから右の金子拓郎へ振って、折り返しをルーカス・フェルナンデスがフィニッシュしたシーン。このパターンは何度も狙っていて、43分にも左で受けたルーカス・フェルナンデスが右の金子へ送り、カットインからのシュートで脅かすなど、効果的だった。

 時折、太陽も顔をのぞかせて蒸し暑さが増した後半は、逆に横浜FMが攻勢に出る。先にネットを揺らしたのも横浜FMで、56分にFKのこぼれ球からアンデルソン・ロペスが蹴り込んだのだが、ファウルがあったとしてVARチェックを経て主審のオンフィールドレビューによって得点は認められなかった。

 札幌がワイドからワイドへと揺さぶりを狙う展開は前半と変わらなかったが、63分に横浜FMが両ウイングを仲川輝人とヤン・マテウスに代えるとパワーアップ。札幌も同じタイミングで荒野拓馬とスパチョークを投入して対抗した。札幌は77分にまたも大きな展開から揺さぶって金子拓郎がカットインから強烈なミドル、横浜FMも88分にハイプレスから吉尾海夏がミドルで狙うが、いずれも決まらない。90+5分のゴールほぼ正面からのFKもレオ・セアラのキックはゴールの上へ。

 前半は札幌、後半は横浜FMのゲームは、それぞれの攻撃的な仕掛けを披露した90分になったが、両GKのビッグセーブもあって、結局、0-0のまま終了を迎えた。

 強敵相手にアウェーで勝ち点1を持ち帰った札幌のペトロヴィッチ監督は、「素晴らしいゲームをした両チームの選手を称えたい」と第一声。攻撃的な横浜FMに、同じく攻撃で対抗したことを誇った。右利きのルーカス・フェルナンデスを左ウイングバックに、左利きの金子を右ウイングバックに置いたのは、横浜FMが逆サイドのスペースを空けることを利用するためであり、レジェンドチームを模したのだと明かす。

「左利きのストイチコフを右に、右利きのラウドルップを左に置く80年代のバルセロナをイメージしました」

 実際にそのルーカス・フェルナンデスが4本、金子が2本とフィニッシュワークに何度も関わった。ゴールこそなかったものの、「サイドを変えてカットインからシュートというのは狙い通り」とペトロヴィッチ監督も納得のゲームになった。

 前日に2位の川崎フロンターレが引き分けていて、横浜FMとしてはここで勝って優勝へ独走態勢を築きたかったところ。しかし、スコアレスドローとなったことで、ケヴィン・マスカット監督は「フラストレーションのたまる試合でした」と悔やむ。

「チャンスは作れましたから、あとはゴール前の質のところ、判断ですね。シュートするのかパスするのかクロスするのか、そういうところです。もちろん16日で5試合でを戦い、今日がその5試合目ですから、疲れが出て判断が鈍ったのかコンディションがきついのかはわからないけれど、そこは次の試合までに振り返って準備したい」

 川崎Fが手にできる最大勝ち点は、残り5試合を全勝して69だ。横浜FMは現時点で59だがら、そうなった場合には勝ち点で上回るにはあと3勝2分け以上が必要な計算になる。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.