7月30日の明治安田生命J1リーグで、浦和レッズが川崎フロンターレに3-1で快勝した。試合を左右したのは序盤の2ゴールで、2点目となった松尾佑介のリーグ2試合連続ゴールは、自身のうれしい埼玉スタジアムでの初ゴールとなった。

上写真=17分、松尾佑介が右足を振って浦和が2点をリードした(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月30日 J1リーグ第23節(埼玉/35,451人)
浦和 3-1 川崎F
得点者:(浦)伊藤敦樹、松尾佑介、岩尾憲
    (川)家長昭博

連続性と連動性

 大きくジャンプして、右の拳を突き上げるゴールセレブレーション。アカデミー育ちの「FW松尾佑介」が、浦和レッズの一員として埼玉スタジアムで決めた念願の初ゴールを「長かったな」と振り返った。

 組み立て、連係とも文句なし。松尾のリーグ戦2試合連続ゴールが、浦和を今季初の3連勝へと大きく近づけた。

 1-0でリードした17分のこと。すっかりなじんだ1トップのポジションから、最終ラインでボールを持った岩波拓也が顔を上げるのとタイミングを合わせてするりと顔を出す。川崎フロンターレの4-1-2-3の並びに綻びを作るなら、「1」のアンカーの周りのエリアを攻略するのがいい。この日のアンカー、ジョアン・シミッチが追いつけない場所で受けて起点を作って、左の関根貴大にさばいた。

「相手のセンターバックが出てこない、と試合に入ってしばらくして言われたので、引き出せて展開できました」

 下がって受ける場所まで積極的に寄せてくるDFもいる。ただその場合は、DFの背中側のスペースが空くことになる。それを嫌ってか、川崎Fのジェジエウも谷口彰悟もあまり前に出て距離を詰めてこないという分析だった。センターバックの癖とアンカー脇のスペースという2つの弱点を利用したわけだ。

 関根に渡した松尾は、そのまま前線へと走り出す。そこへ、関根から最高のパスが足元にずばっと差し込まれてきた。右足のアウトサイドで内側にターンしたところでスリップしたが、伊藤敦樹がサポートに入っていてボールを戻してくれた。迷いなく右足を振り抜くと、気持ちよくゴール左へと飛び込んだ。

「連続で動き直して走り込めたことが、あのゴールにつながりました。敦樹が僕の近くにいてくれたことでゴールになりました」

 自らの動きの連続性と、そこに合わせて一緒に走ってきた伊藤の連動性が自慢のゴールだ。

 昨季はスピードを存分に発揮して、横浜FCでサイドアタッカーとして名を挙げた。アカデミー時代を過ごした浦和に戻ってきて、その速さと思い切りの良さが花開いている。しかも、サイドではなくセンターフォワードとして。

「僕自身もチームも、最近は快適にプレーできています。ゴール前に入っていくシーンが多くなっていると感じていて、得点が増えていたり勢いを持てている要因の一つだと思うので、続けていきたい」

 観察力が好調の理由、というのが自己分析。タッチラインを背負うサイドアタッカーとは違って、「どの方向からでもプレッシャーが来る」と警戒する。そのことが、「周りを観察して、どこにスペースがあるのか、ボールを待っているだけではなくてスペースに走るのか、あるいは引き出すのか、試合を通して考えて、ポジションを取っています」という意識を呼び起こした。

 360度の視野でよく見て、瞬時に選び取る作業を続けている。

「慣れてきたと思いますし、今度はそこから運びだしたり、武器であるドリブルを織り交ぜていけたら」

「FW松尾佑介」は進化の途中だ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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