5月29日に行われた明治安田生命J1リーグ第16節で、FC東京が首位の鹿島アントラーズを迎えた一戦。気温28.2度の暑さの中の90分となったが、序盤の激しい鹿島の圧力を抑えてパスワークでかいくぐったFC東京が、渡邊凌磨の2ゴールとディエゴ・オリヴェイラのPKで突き放し、反撃を1点に抑えた。これで、J1リーグ通算300勝に。鹿島は首位陥落となった。

上写真=渡邊凌磨が鮮やかに2ゴール。右から中央のエリアにもぐり込んだポジショニングが功を奏した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月29日 J1リーグ第16節(味スタ/28,436人)
FC東京 3-1 鹿島
得点者:(F)渡邊凌磨2、ディエゴ・オリヴェイラ
    (鹿)上田綺世

画像: ■2022年5月29日 J1リーグ第16節(味スタ/28,436人) FC東京 3-1 鹿島 得点者:(F)渡邊凌磨2、ディエゴ・オリヴェイラ (鹿)上田綺世

「シャンパンで祝いたい」とアルベル監督

 左を破って中で刺す。FC東京が渡邊凌磨の鮮やかな2ゴールとディエゴ・オリヴェイラのPKで、首位の鹿島アントラーズから快勝を手にした。

 鹿島がミドルレンジのスピードパスで仕掛ける高速テンポになじむまで、25分程度はかかっただろうか。FC東京は自分たちのリズムでボールをつなぐことができず、押し込まれるまま時間が過ぎていった。

 鹿島の強度も落ち着いた、飲水タイム明けの25分ごろから、FC東京がボールを動かしながら前に進んでいく。26分、左からアダイウトン、松木玖生とつないで中央へ、これは右から中で構えていた渡邊がシュートを外すのだが、アルベル監督は飲水タイムに渡邊に中央でのプレーを促したと明かし、この「左から中」が2度の歓喜を呼ぶのだった。

 33分、左で受けた小川諒也が中央の渡邊に斜めのパスを届けると、ワンタッチで前のディエゴ・オリヴェイラへ、ワンツーを決めてフリーになると、右足でゴール右に冷静に流し込んだ。ファーに打つと見せかけてニアを抜いた駆け引きの勝利だ。42分にはアダイウトンが左を強引に突破、中央へのパスは引っ掛けられそうになるが、ディエゴ・オリヴェイラが粘って右につなぎ、またも渡邊がゴール左に突き刺した。

 後半早々の52分に、FC東京がアダイウトンの突破で得たPKをディエゴ・オリヴェイラが決めて3-0。しかし、このまま黙っていない鹿島は2分後に左からのアルトゥール・カイキの折り返しに、代わったばかりの和泉竜司がヒールで流し、上田綺世が落ち着いて流し込む追い上げ弾。後半に一気に動きが出た。

 ここからさらに鹿島が、右からの鈴木優磨の折り返しに和泉がワンタッチで狙った57分、右からの常本佳吾の高速クロスを上田がヘッドでたたいた59分とパワーをかけたが、ゴールはならず。82分のビッグチャンスもアルトゥール・カイキのシュートが小川にブロックされ、88分の和泉のパスから土居聖真が左から狙った際どいシュートも右に切れた。

 鹿島は4月10日の横浜F・マリノス戦、5月7日のサンフレッチェ広島戦で3失点、5月25日のサガン鳥栖戦で4失点に続き、4度目の大量失点ということになる。しかもここ6試合、クリーンシートがない。この日も立ち上がりは押し込んだものの、突然の失速に、レネ・ヴァイラー監督は「簡単に失点したのが要因」と言葉少な。「信じて続けるパーソナリティーが足りないと分析している。でも、改善は不可能ではない」とメンタル面でのナイーブさを心配していた。

 FC東京はもちろん、効果的な3ゴールが勝利の要因に。アルベル監督は「20分ほどでアントラーズのインテンシティが落ちると予測していた」と話し、まさにその通りの展開になった。そこまでに失点しなかった試合運びが大きく、「幸運にも恵まれて前半の3つのチャンスで2つ決めた」と決定力が試合を決めた。

 これでJ1通算300勝という節目の勝利になった。「私もJリーグで100試合目の指揮なんです」と笑顔のアルベル監督は、「いろいろと祝うことがあるので、シャンパンとともに祝いたいですね」。開幕当初からの成長も実感し、「明確な成長が見受けられ、だからこそいまのこのチームを誇りに思っています」と胸を張った。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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