川崎フロンターレが湘南ベルマーレからまさかの4失点を食らった明治安田生命J1リーグ第15節。山根視来が改善点に挙げたのは、守備ではなく攻撃についてだった。攻めて点を奪えば守備になる。「攻撃は最大の防御」の策は、その頭の中にはっきりと描かれている。

上写真=山根視来がタリクに激しく迫る。連続失点の課題を解消するために、攻めることにフォーカスする(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月25日 J1リーグ第15節(等々力/14,068人)
川崎F 0-4 湘南
得点者:(湘)町野修斗2、池田昌生、タリク

「最近は点が取れていないので…」

 まさかの4失点。川崎フロンターレがホームの等々力陸上競技場で、11分間で立て続けにゴールを許した。CKから、サイドから、ミスを誘われたカウンターから2発。

「悪いなりの流れの切り方というのを、3回目なのでやっていかなければいけないと思います」

 山根視来の表情も堅い。3回目、というのは、今季4失点した試合の数。2月23日の横浜F・マリノス戦では21分間で4失点、4月2日のセレッソ大阪戦でも前半の23分間で3失点したあと、後半にも決められて4失点している。一度、ゴールを割られると、立て続けに失う傾向がある。

「前半からそんなに流れは良くなかったですけど、(失点を)ゼロで終わることができたので、後半は仕切り直しかと思いました。でも、セットプレーで決められてしまってからチーム全体でトーンダウンしてしまいました。今季は連続失点することがすごく多くなっています。そうすると試合をかなり難しくしてしまうし、相手がやりたいようにできる展開になってしまいます」

 立て続けに「得点する」のが川崎Fの流儀であるはずだが、それを逆に食らってしまった格好。

「前がかりになって、取られ方が悪かったりします。最近は点が取れていないので、そこのちょっとしたズレみたいなものが、失点をすると少しずつ大きくなってくるのかなと感じています」

 この日の3点目と4点目は、中盤で相手のプレッシャーでミスを誘われてから奪われ、一気にカウンターで仕留められた。3失点しているAFCチャンピオンズリーグの蔚山現代(韓国)戦でも、14分と20分の連続失点。その2点目と47分の3点目も同じように中盤のミスからのカウンターだった。

 山根の「点が取れていないので」の言葉からわかるのは、失点が続いたから守備を固めなければ、という思考に落ちないこと。つまり、失点するのは得点できていないからであって、改善するには攻めればいい、という発想なのだ。それは、鬼木達監督のメッセージからも読み取れる。

「あくまで攻撃のところをいきたいという思いがあります。当然リスクはあると思いますが、怖がっていたら得点は生まれません。結果としてこういう形になったので、自分が考えなければいけないところですが、選手は取り組もうとしてくれています。ボールを守ろう、守ろうとしているのであれば改善しなければなりませんが、前向きな取られ方で失点しているのであればポジティブだと思っています」

 攻めるための改善策は、山根の頭の中にはっきりとある。

「相手のファーストプレスのラインのところで、後ろにもう少し人数をかけてから前進して前にポジションを取ることは、選手の中で話しながらやれたら良かったかなと思います」

 中長距離のキックで背後のスペースにいち早く進んでいく戦い方とともに、じっくりとボールを動かし、相手の目先を変えながらもぐり込むリズムも組み込んでいく。そのバランスが、大量失点を食い止めるカギになりそうだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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