浦和レッズがまたもや引き分けた。5月21日の明治安田生命J1リーグ第14節を「30周年記念試合」として、鹿島アントラーズを迎えた一戦。リードを許しながら追いつく、という前節と同じ展開で7試合連続引き分け。だが、久々の先発出場を果たした岩尾憲は、勝利につながる感覚を得た。

上写真=岩尾憲はACLを挟んでおよそ40日ぶりの先発出場(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月21日 J1リーグ第14節(埼スタ/37,144人)
浦和 1-1 鹿島
得点者:(浦)アレクサンダー・ショルツ
    (鹿)アルトゥール・カイキ

「戦術のことはあるにしても…」

 ACLを挟んで、J1では4月10日以来、およそ40日ぶりの先発。岩尾憲は「後悔しないように」という思いでピッチに足を踏み入れた。

「自分の未熟さを含めて、精神面でもコンディション面でも自分に矢印を向けて、地に足を進んでいかなければいけないというマインドで過ごしていました」

 それをピッチで証明する必要があった。浦和は3バックと両ワイドで5バック気味に構えながら、その前にセンターハーフを3人、配置した。3日前の横浜F・マリノス戦では前半で3点を奪われながら、後半のキックオフの笛が鳴った瞬間から一気に前へ前へとプレスをかけて、キャスパー・ユンカーのハットトリックで追いついている。そのときに選択した立ち位置に近い形を採用することになった。リカルド・ロドリゲス監督は「前回のマリノス戦の後半にできた流れを継続しようと決断」して、自信をつかんだ残像を投影する狙いだった。

 岩尾はその中盤のセンターに立った。

「5バックにして(鹿島の2トップに対して)中央では3対2の状況を作り、ほかの選手は前に出てボールにアタックするやり方でした。マリノス戦の後半同様、アグレッシブに守備していくことは概ねできたと思います」

 最終ラインでは2トップのマーク役とカバーリング役を確保しつつ、そこにボールを入れさせない戦術。だが、たった6分で先制されてしまう。

「中盤の選手が出ていったあとに放り込まれて1失点しました。後ろと中盤が下がりすぎずに前に前にとエネルギーを使ってほしいとショルツと話しましたが、一瞬スペースを与えると失点してしまうので、しっかり修正しないと。自分の背中側にボールが入ったときに、もっと早くスペースを埋めにいく作業を突き詰めないといけないと思います」

 その中盤は岩尾を真ん中に、主に右を伊藤敦樹、左を柴戸海が担当した。

「僕がやったワンアンカーについてはやることはシンプルですが、柴戸と伊藤はボールと相手によって動き方が変わるので」と仲間のタスクの多さ、複雑さを明かす。「サイドバックにボールが入った瞬間の伊藤と柴戸のアクションは悪いものではなかった」と狙い通りの戦いになったが、「崩すための動きなのかゴールに向かう動きなのか、そこで崩しにいくことが多くて、ゴールに向かうところが薄いと感じました」と、そこから先のチーム全体の姿勢をすり合わせる難しさも口にしている。

 これで7試合連続ドローのJ1最長タイとなった。負けてはいないが勝ててもいない。必要以上にふさぎ込む必要はないが、急ぎ修正すべき点はたくさんある。

「一つこれが、ということではないですけど、少なくとも選手一人ひとりが意識することが、それぞれにならないようにしなければ」と同じ方向を向くことの重要性を、いま改めて自分たちに問う。「もっとシンプルに戦うところや、勝ち点3を目指すスピリットが大事で、戦術のことはあるにしても、勝つために何をしなければいけないかをシャープにしていけば、勝利につながる感覚があります」

 セレッソ大阪、アビスパ福岡とのアウェー連戦で、「勝つための何か」を研ぎ澄ませるつもりだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.