5月21日に行われた明治安田生命J1リーグ第14節で、浦和レッズの「30周年記念試合」として鹿島アントラーズを迎えた注目のカード。37,144人が集まったゲームは、お互いに攻め合う展開でゴール前のシーンが多い白熱の90分。結局、1-1の結果に終わった。

上写真=ゴール前の激しい攻防。90分間、息もつかせぬ好ゲームになった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月21日 J1リーグ第14節(埼スタ/37,144人)
浦和 1-1 鹿島
得点者:(浦)アレクサンダー・ショルツ
    (鹿)アルトゥール・カイキ

画像: ■2022年5月21日 J1リーグ第14節(埼スタ/37,144人) 浦和 1-1 鹿島 得点者:(浦)アレクサンダー・ショルツ (鹿)アルトゥール・カイキ

「いい試合だったと思う」とヴァイラー監督

 幕開けは、鹿島の先制ゴールから。開始わずか6分、左から鈴木優磨がサイドチェンジ、右サイドで和泉竜司が受けて中央の上田綺世に届けると、右に一つ持ち出して強烈なシュート、GK西川周作が弾いたボールをアルトゥール・カイキがダイレクトで押し込んで、あっけなく先制した。

 2位の鹿島に対して、6試合連続引き分けの浦和が選択したのが、システムの調整。リカルド・ロドリゲス監督が「前節の後半にできたプレーの流れを継続しよう」という狙いでキックオフから3バックにして、上田と鈴木の2トップをケアしながら、その前に岩尾憲、伊藤敦樹、柴戸海を配置して、鹿島のダイヤモンド型の中盤に対応させた。しかし、そのポジショニングをアジャストさせる作業が終わらないうちに生まれた先制ゴール。鹿島が早いうちに先制すれば、堅い試合に持ち込むのはお手のものだ。

 浦和はなかなかボールを前に運べない展開が続いた。鹿島は慌てずに浦和の出足を中盤でつぶして、危険なシーンを作らせなかった。浦和が唯一と言っていいぐらいにサイドの奥深くに運ぶことができたのが、40分のこと。

 柴戸がプレッシャーのかからない左から持ち運んでから前へ。明本考浩がゴールライン際からセンタリングを送ったものの、関川郁万がスライディングでブロックした。しかし、関川が足で止めたボールが右手に当たり、VARチェックのあとのオンフィールドレビューを経て、PKが与えられた。44分、アレクサンダー・ショルツが左に蹴り込んで、浦和が同点に追いついた。

 仕切り直しの後半は、勢いづく浦和がさらに前に出た。その分、鹿島も裏返して攻めに出る。いきなりオープンな展開で攻め合うことになった。疲れ知らずの両チームは、時間を追うごとにアップダウンが激しくなっていく。65分に左サイドで関根貴大が抜け出してニアで江坂任がさらに折り返し、その直後には宮本優太のスルーパスでキャスパー・ユンカーが抜け出すが、右足のシュートは上へ。すると鹿島は68分、常本佳吾の右からのクロスに中央で上田がヘッドで合わせたが、シュートはGK正面へ。

 そしてその2分後、浦和がついにネットを揺らす。左からの岩尾憲のFKを明本がバックヘッドできれいな弧を描いてゴールに送り込むフィニッシュ。しかし、ファウルがあったとしてゴールは認められなかった。

 スタジアムのボルテージはますます上がり、ゴールへの真っ直ぐなプレーが増えていく。75分には鹿島が上田のポストプレーからアルトゥール・カイキがダイレクトで狙うが、GK西川周作が素晴らしい反応でストップ、43分にも右深くに入った樋口雄太が強烈に狙うが、これも西川が止めてみせた。

 最後は浦和の大迫力の連続攻撃だ。交代で入ったアレックス・シャルクと松尾佑介のコンボが効いて、90+2分にシャルクの縦パスで抜け出した松尾が一度は止められかけながら、こぼれ球を角度のないところから思い切り狙ったが、GKクォン・スンテがブロック。3分後にもシャルクがカットインからヒールパス、左に抜けた松尾が今度はファーに浮き球のクロスを送ると、大久保智明が突っ込んだが惜しくもクリアされた。しかし、これを拾ってつないで最後は岩尾がワンタッチシュート、これが今度はバーに阻まれることに。

 鹿島のレネ・ヴァイラー監督は「最後に2度、浦和にビッグチャンスがあった」と逃げ切ることができて胸をなでおろした。先制しながら「アンラッキーな形で失点した」とPKで追いつかれたことを悔やんだものの、一方で、90分を通しては「いい試合だったと思うし、スタジアムに足を運んだ人にとってはエキサイティングだったのではないか」と評価している。

 浦和は終盤の逆襲で決まっていれば、というシーンが続いただけに、リカルド・ロドリゲス監督も「あってはならない簡単な失点をした」と開始直後のルーズな失点を苦戦の原因に挙げた。これで実に7試合連続でドローという結果に。「どちらに点が入ってもおかしくなかったし、どちらが勝っていてもおかしくなかった」と、ヴァイラー監督と同じく白熱の展開だったことは評価しつつ、「負けてはいないが勝てていない現実を受け止める」と慎重だった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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