「ヴィッセル神戸の橋本拳人」が4月6日の明治安田生命J1リーグで再スタートだ。相手は古巣のFC東京で、かつてのホーム、味の素スタジアムで58分にピッチに立って初出場。両チームのサポーターが拍手で温かく迎える中で、不思議な感情が芽生えたという。

上写真=橋本拳人が試合後にFC東京サポーターにあいさつ。新たなスタートを味の素スタジアムで切った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月6日 J1リーグ第7節(味スタ/13,814人)
FC東京 3-1 神戸
得点者:(F)アダイウトン、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ
    (神)山口蛍

「貢献できなかった悔しさが」

 橋本拳人の新しいスタートは、やはり味の素スタジアムがふさわしかった。58分、アンドレス・イニエスタに代わって登場。FC東京で育った男が、ヴィッセル神戸の白いユニフォームに身を包み、「15」を背負ってピッチに足を踏み入れた。

「味スタに着いたときやピッチに入ったときは、いろいろな感情がこみ上げてきました。このクラブで育ったことは間違いないし、不思議な気持ちでした。いまは神戸の選手なので神戸のために頑張りたい」

 FC東京からロシアのFCロストフに移籍したが、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、神戸に移籍。FIFAのレギュレーションにより、ロシアのチームとの契約が一時停止された措置を受けたもの。現状の契約期間は6月30日までだが、3月27日に加入が発表され、4月1日に合流したばかりで、この日が初めてのベンチ入り。急ピッチで仕上げて、懐かしのスタジアムで「敵」としてその最初の一歩を刻んだ。

 11分に山口蛍のゴールで先制したものの、交代の準備をしている間に54分と57分に連続ゴールを浴びて、1-0のリードが1-2のビハインドになった。

「難しい状況での投入となりましたけど、結果が出なくて残念です。貢献できなかった悔しさが一番ありますね」

 一気にピッチの上の状況が変わる中でのデビュー。FC東京のサポーターも神戸のサポーターも、ともに拍手で迎えた。山口と中盤の底でボールに絡みながら、63分にボージャン・クルキッチに代わって扇原貴宏が投入されると、山口とともにもう一列前に出て、推進力を生かしてビハインドを取り返すべくゴールを目指した。しかし、66分にも失点して1-3。

「いい時間も悪い時間も、どのチームでもあります。まずは、ここ2試合で3失点しているので、守備が安定したところから攻撃を出していかなければいけないと思います。具体的な改善策はこれからチームで話し合っていくべきでコメントはできませんが、チームの力になれたらと思っています」

 FC東京のサポーターは「無事でよかった!拳人頑張れ!」の横断幕を掲げた。世界情勢にも影響を受けた日本での再スタートが、かつての「家」から始まった。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.