昇格した明治安田生命J1リーグで新たな挑戦を続ける京都サンガF.C.で、荻原拓也が印象に残るプレーを続けている。第4節の湘南ベルマーレ戦では2つのビッグプレーを見せて、大きな可能性を感じさせた。「完璧だった」とした76分のシーンの意味とは?

上写真=荻原拓也は湘南戦で見せた好調ぶりを続けていく(写真◎写真◎KYOTO.P.S.)

「1G1A未遂」だが伸び盛りの証拠

 率直に思いを口にできるところが、このレフティーが人を引きつける大きな理由の一つだろう。

「手応えあり、ですね」

 荻原拓也が浦和レッズからの期限付き移籍を延長してJ1に臨む今シーズン。その浦和との開幕戦は契約上、出場できなかったが、それ以降の3試合で存在感を示している。「京都サンガF.C.として今年やっていくサッカー、こうやってJ1で戦うんだということを見せることができていて、1試合1試合、全部がうまくいったとは思わないけれど、数試合で積み上げられていると感じています」と語る表情が引き締まる。

 第4節の湘南ベルマーレ戦では後半からの登場となり、2つのビッグシーンで大きなインパクトを残している。まずは、47分に先制した直後の48分だ。スローインから再開した流れで、一気に裏を取ってセンタリング、ピーター・ウタカのフィニッシュを導いた。惜しくもバーへ。

「武田(将平)選手からボールが来るとわかっていたので予測でも勝ったし、ウイングバックに入るときにはシンプルなプレー選択、背後へのランニングが効くと思って狙っていて、うまくボールが抜けてきました。クロスのところも、ボールを入れたい場所はキーパーとディフェンダーの間ですけど、実際に空いているのはディフェンスの後ろ、まさにウタさんが受けたところなので、狙い通りでした」

 武田が半身から左足で鋭角に裏に流し込んだところに相手より早く反応して抜け出し、ゴール方向に戻るDFの逆を取るようにマイナスのセンタリングを滑り込ませる。冷静さと技術の合わせ技だ。

 もう一つが76分のシーン。こちらも「完璧だった」と自画自賛だ。確かに、左からの流れるような攻撃は喝采ものだった。左いっぱいで松田天馬から受けると中のウタカへ、リターンをもらいさらに中の武田へ、武富孝介を経由する間に中央に進んでいってパスを受け、得意の左足を振り抜いた。

「シュートまで完璧です。まじで完璧。自分で言うのも何ですけど、チャレンジしていてやりたかったプレー、『シャトル』というプレーなんですけど、完璧でしたね。サイドでもらって中につけてウタさんとワンツーして将平くんに出して、そのままランニングしてタケくんを経由してあの位置でもらえたのがよかった」

「シャトル」とは、チョウ・キジェ監督がチームコンセプトを示すワードの一つで、バドミントンの羽根(シャトル)のように爆発的にスピードを上げるプレーのこと。一度サイドで起点になってから攻撃をスタートさせ、そのまま足を止めずにボールに関わりながらゴール前まで出ていって、最後はシュートを放つという連動性、前向きの選手を効果的に使ってスピードもパワーも増しながらゴールを目指す迫力は、まさにこのチームらしかった。シュートはGKに阻まれたものの、そこまでは「完璧」と胸を張るのもうなずける。

「相手によって、ですけど、中で受けてからサイドに出して中を抜けるインナーラップ的な動きもしたいし、サイドに張って受けたときにもそれなりのクオリティーは出せると思うので、相手が嫌がるプレーをどんどんしていければと思っています」

 湘南戦では「1ゴール1アシスト未遂」にはなったものの、思考とプレーの好循環は、まさしく伸び盛りの証拠。どこまで突き進むのか、楽しみだ。


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