いきなり過密日程が続く明治安田生命J1リーグで、浦和レッズは2月26日にガンバ大阪をホームに迎える。23日のヴィッセル神戸戦では1人が退場し、87分に追いつかれて2-2で引き分けたが、リカルド・ロドリゲス監督は「結果は悪くない」と前向き。その理由の一つが、30分に見せた好連係だった。

上写真=リカルド・ロドリゲス監督は退場した明本考浩について「とても反省していて謝罪を受けた」と明かした(写真◎スクリーンショット)

狙うはスペクタクルと勝ち点3

 2月23日のヴィッセル神戸戦。2-1と逆転したあとの30分だった。松崎快がGK前川黛也と1対1になりながら、シュートは弾かれて、松崎が「あれを決めていれば試合は終わっていた」と悔やんだシーンがある。確かにシュートを決めるべきだったかもしれないが、そこに至るまでの展開が、とても鮮やかだった。

 始まりはGK西川周作だった。右に開いた馬渡和彰へ軽く浮かせて届けると、中央で柴戸海がもらって伊藤敦樹が引き取り、左寄りのアレクサンダー・ショルツへ送る。ショルツは左の大畑歩夢に預けてリターンをもらい、続けて柴戸と伊藤もパス交換、柴戸は今度は右に振り、岩波拓也を経由して右外の松崎が受ける。ドリブルで少し中に入りながら、柴戸に預けてもう一度もらうと、今度は左へ。

 ショルツが素早く左前の大畑へ送ると、一気にスピードアップ。中央へ中距離の斜めのくさびのパスを打ち込むと、明本考浩がスルーして江坂任が受けて相手をひきつけ、右にフリーで入ってきた松崎にていねいに渡した。

 10人がボールに直接関与して、連続して17本のパスをつなぐ、45秒間のコンビネーション。圧巻だった。

「非常にいいコンビネーションと落ち着きが見られたプレーで、相手にダメージを与えるようなものでした。GKから始まってサイドを変えながら相手を動かして、最後はあの松崎の場面になりました」

 リカルド・ロドリゲス監督も高く評価した一連のアクション。サポートの角度やタイミング、広いスペースを有効に使う意志が統一されていた。テンポよく左右にボールを循環させることで、神戸のダイヤモンド型の中盤に穴を開けていく。最後は、サイドハーフのスライドが間に合わないタッチライン際に一度滑り込ませてから、遅れて寄せてきたところの逆を突くように素早く角度をつけて、斜め中央にスピードボールを送り込むリズムチェンジも効いた。

「神戸を分析して、スライドするのを見ながら逆サイドを突くのは狙いとしてありました」

 まさに、スカウティングの成果だったわけだ。

「素晴らしい試合ではなかったかもしれないですけれど、いい対戦相手にいいゲームができたと思います。ポジティブな部分は残しながら次に進みたい」

 新型コロナウイルス感染症で陽性者が出る中での難しい戦いで、1分け1敗とまだ勝利はない。ただ、勝利につながりそうな種は、例えばこの30分のシーンのように散りばめられている。

「次のガンバ戦ではいいサッカーをして、神戸戦で見せたかった完全なプレーを攻守に渡って見せたいと思います。よいスペクタクルを見せながら最後は勝ち点3を取ってみんなで祝いたい」

 中2日でスケジュールは厳しいが、祝宴の準備はできている。


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