川崎フロンターレは、横浜F・マリノスに4失点して4年ぶりに逆転負けを喫した(2018年4月のC大阪戦/1-2)。試合後、右ウイングで先発した家長昭博は守備面よりも自分たちの特長を発揮し切れず、多くのゴールを挙げられなかったことに言及した。

上写真=横浜FM戦で先制ゴールを挙げた家長昭博。さすがの冷静さと技術だった(写真◎小山真司)

相手の方がシンプルに強かった

 少しリズムが悪い序盤をしのいで、さすがのゴールで先制した。アンカーの位置から橘田健人が前線に飛び出し、そこへ左サイドバックの登里享平がスルーパスを通す。フリーでボールを受けた橘田はそのままボックス左横からクロスを供給。中央のレアンドロ・ダミアンには合わなかったものの、右から詰めていた家長が右足で押さえるようにシュート。ボールは大きくバウンドし、クロスバーを内側から叩いてネットを揺らした。

 家長のゴールが生まれた前半はよかった。後半になると劣勢となり、4失点。川崎Fらしい連動した攻めは見られなくなっていった。逆転負けは実に4年ぶりのことになる。

「4失点がショックではなくて、そんなことよりも4点、5点取れなかった方がショックで。今のチームの現状を表していると思います。試合展開は良い時間もありましたし、相手の良い時間もありましたし、まあマリノスの方がシンプルに強かったと思います」

 試合後、家長は守備面よりも攻めきれなかったことを反省した。家長の得点につながる崩しの局面では、アンカーの橘田が前線に飛び出したことでフリーな状況を作った。左ウイングの宮城天には対面する相手の右サイドバック松原健、左インサイドハーフのチャナティップにはボランチの喜田拓也がマークについていた。橘田はマルコス・ジュニオールのマークを振り切って果敢に飛び出し、エウベルとの距離が空いていた登里は狙いすましてボールを届けた。連動した動きとスペースメーク、相手のスキを逃さないプレーは、まさに川崎Fらしかった。フィニッシャーとなった家長も、難しいボールをしっかり枠に蹴り込んでいる。

 ただ、こうした機会をこの試合では複数回、創出することができなかった。

「伸ばさないといけないところしかない。各々がもっとやれるようにならないとレベルが上がっていかない。チームと言うよりも個人個人が自信をもってできるか。そのことが欠けている」

 個々の局面で劣勢にあったことが家長の言葉からもうかがえる。とりわけ後半は相手にペースを握られた。中盤の並びを修正した横浜FMに対し、守備がはまらず、まともに攻撃を受けてしまった。終盤に家長のスルーパスを受けた山根視来の右クロスを知念慶が頭で叩き込み、1点を返した。試合終了間際に右CKからL・ダミアンが決めたヘッドがファウルで取り消されるなど、得点機自体がなかったわけではないが、往時の川崎Fに比べれば、やはりその数は限られた。

 次戦の鹿島戦までは、中2日。4年ぶりの逆転負けを引きずることなく切り替えて試合に臨むことが必要になる。スーパーカップ、開幕戦(FC東京戦)、そして横浜FM戦と、その戦いぶりを見る限り、まだまだ今季のチームが仕上がっていない印象を受けるが、連戦の中できっちり修正し、勝ち点を奪っていかなくてはならない。連敗だけは絶対に避けたいところ。横浜FM戦の後半、劣勢の中でも、個での打開も試みていた家長の存在がカギを握るかもしれない。


This article is a sponsored article by
''.