川崎フロンターレが大きな目標に向かって始動した。明治安田生命J1リーグ3連覇、JリーグYBCルヴァンカップと天皇杯優勝、そして悲願であるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の制覇だ。登里享平は副キャプテンとして、ムードメーカーとして、そして不動の左サイドバックとして、チームをさらに高みに導く。

上写真=2021シーズンはJ1連覇を達成。しかし登里享平は満足していない(写真◎J.LEAGUE)

「さらに厳しいシーズンになる」

 2022シーズンも、登里享平は川崎フロンターレの副キャプテンだ。

「コミュニケーションを取りながらみんなで同じ方向を向いて、目標に向かって一人ひとりが成長できなければいけないシーズンです。結果を求めて、より厳しくやっていきたいと思います」

 厳しい、という言葉はもう一度出てきた。

「昨年も苦しかったですけど、今年はさらに厳しいシーズンになると思っています」

 2021年は、J1連覇の目標は2位横浜F・マリノスに勝ち点13もの差をつけて達成したが、その道のりが非常に厳しいものだったことはすべての選手が口にしてきた。それをさらに上回る厳しさを覚悟している。

 今年もJ1、ルヴァンカップ、天皇杯、そしてACLと4冠を貪欲に狙うが、J1では3連覇を阻止しようとすべてのクラブが対策を講じてくるだろう。2017年と18年に連覇した次の19年で徹底マークにあって、4位に転落した苦い思い出を忘れることはできないのだ。

 とはいえ、そこはやはり、ムードメーカーの登里である。今年初めてのオンライン会見でも、マスクで顔全体を隠す得意の芸(?)で報道陣の前に登場し、明るく楽しく、チームをもり立てているのだ。

「新加入選手もたくさんいるので、いままで通りに迎え入れる雰囲気作りをやっています。練習の中でも楽しむところと厳しくするところのメリハリが大事ですし、気を配りながらやりたいと思います。でも、みんな意識高くやっているので、自分が役に立つ部分がないぐらいに向上心を持っていますね」

 少し謙遜も入ったが、既存の選手も新加入選手も、このチャンピオンチームの一員として戦うことの意味を行動で示しているのだ。

 その新加入選手の中には、佐々木旭がいる。流通経済大でセンターバックとして関東大学リーグMVPに輝いた逸材だが、本来は左サイドバック。本人も左サイドバックで勝負したいと明かしていて、登里にとっては若きライバルの出現である。

「常にポジション争いはありますし、自分が出られないときもあります。ポジションが確約されているという気持ちもありません。監督やチームメートの信頼を勝ち取っていければ」

 そう話して自らを引き締めるが、今年32歳になるベテランの余裕と、さらなる向上心の両方から、佐々木との勝負を喜んでいる。

「昨年の練習参加のときに、旭の方から話しかけてくれたんです。自分は技術がある方だとは思っていないので、立ち位置の部分だったり相手のアプローチの矢印に対する逃げ方で優位性を持てるようなポジションを教えてあげたりしました」

 自ら体得したポジショニングの技を隠すことなくオープンにした。自分にもメリットになるからだ。

「そうやって聞かれたことに対して答えることで、頭の中が整理されますからね。旭に限らずアドバイスできるならするし、旭は頭のいい選手なので自分も吸収したいんです。お互いにコミュニケーションを取りながらできたらと思います」

 教えを受けた佐々木は「ノボリさんはボールを持ったら選択肢を4つ持っているそうです。それはうまいわ、と」と感嘆の声をあげていた。

 そんな、うまくて楽しくて厳しい副キャプテンとともに、川崎Fは今年もまた、進撃を始める。


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