11月6日の明治安田生命J1リーグ第35節で、FC東京は横浜F・マリノスに0-8というクラブワーストで悲劇的な敗戦を喫した。その難しい試合がJリーグでのデビュー戦となったのはDF大森理生。退場者が出たことで41分に急きょ、ピッチに立った。

上写真=大森理生は41分に急きょピッチへ。0-8の大敗を悔やんだが「逆に言えば一生ないような試合」とバネにする(写真◎J.LEAGUE)

■2021年11月6日 明治安田生命J1リーグ第35節(@日産ス/観衆18,307人)
横浜FM 8-0 FC東京
得点者:(横)前田大然3、マルコス・ジュニオール、小池龍太2、オウンゴール、水沼宏太

「将来的に引っ張る選手にならなければ」

 試合終了のホイッスル。0-8。あまりにも屈辱的な、チームワースト記録となる大敗。

 大森理生はその直後、ピッチに大の字になって倒れ、両手で顔を覆った。この試合がJリーグ初出場。39分に森重真人が2度目の警告を受けて退場処分を受け、41分にディエゴ・オリヴェイラに代わって登場するスクランブルデビューだった。

 終わってみれば「何もできなかった」とうなだれ、そのショックで倒れこんだ。だが、そのことで自分を責めた。

「あの行動はプロサッカー選手としてみっともなかったと反省しています。ピッチで90分出ている選手は自分以上に悔しかったはずですし、東京の選手も全員が戦っている上でのあのスコアなので、自分の感情は出してはいけなかったと反省しています。東京のエンブレムを背負ってピッチに立って代表して戦っている中で、こういう試合を絶対にしてはいけない。途中から出て失点を止めることはできなかったし、1点も取れなかったことにすごく悔しさを感じていました」

 もちろん、やるべきことは明白だった。森重のいた左センターバックに入り、後半からは東慶悟がリベロに入ってサポートを受けながらの守備になった。

「1人少ないことは分かり切っていることで、そこで自分にできることは失点しないことであり、点を取る姿勢を見せて点を取らないといけなかった。チームが意図していることをやれば良かったので難しさはなかったですけど、結果的に大量失点を食らって1点も取れない最悪な結果に終わってしまった。途中で出てきた中で何もできなかったと感じています」

 最悪のデビュー。だが、「逆に言えば一生ないような試合」が初めての試合だったから、失うものはなにもないところからのスタートだ。そこに、大森の気持ちの強さが生きてくる。

「将来的に引っ張る選手にならなければならないといけないと思っています。こういうときにチームを奮い立たせられるかどうか。うまくいっているときにはみんなが高め合ってできますが、悪い流れのときには誰かが雰囲気を変えなければいけない。声なのかプレーなのかは人によると思いますが、そういう選手にならないといけないと思っています。この試合は、一生忘れられません。これを生かしていかなければならない」

 試合の翌日には長谷川監督が辞任した。大森はいわば、長谷川監督がピッチに送ってデビューさせた「最後の希望」になったわけだ。その意味でも、みっともないスタートからの大逆襲を成し遂げなければならない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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