10月27日の天皇杯準々決勝で、鹿島アントラーズは川崎フロンターレに1-3で敗れ、今季無冠が決まった。川崎Fとの差を痛感することになったが、一筋の光は、荒木遼太郎のプレー。54分に登場すると生き生きと攻撃のリズムを生み出し、意地のゴールを奪った。

上写真=3点のビハインドからピッチに登場した荒木遼太郎。きびきびとゴールに迫って1ゴール(写真◎小山真司)

■2021年10月27日 天皇杯準々決勝(@等々力/観衆9,776人)
川崎F 3-1 鹿島
得点者:(川)オウンゴール、旗手怜央、脇坂泰斗
    (鹿)荒木遼太郎

「全力で戦ってACL圏内を」

 今季最後のタイトルを逃した悔しさは、低く絞り出すような荒木遼太郎の声が物語っていた。

「タイトルを取れる大会はラストだったので、これですべて失って悔しい気持ちと、一緒に戦ってくれたサポーターに対して今年は(クラブ創設)30周年記念というのもあって申し訳ない思いです。本当にこのタイトル取りたかったという気持ちがありました」

 10月27日、天皇杯準々決勝で鹿島アントラーズは川崎フロンターレに挑み、1-3で散った。前半は圧倒されて先制され、後半開始早々に2点を失い、荒木に出番が回ってきたのは3点をリードされてすぐの54分だった。

 すると、鹿島に推進力がよみがえる。気圧されていたパワーを引っくり返すようにして、荒木が相手に捕まらないポジションでボールを引き出し、さらに前線に配球して川崎Fのラインを押し下げた。そこに、安西幸輝の左サイドからの突破を加えて押し込むと、荒木が一矢報いるゴール。

「幸輝くんが何回も相手の深い位置まで潜り込んでくれて、そこからのクロスがあって、何回かあそこ(ゴール前)にこぼれているシーンがありました。そこに入っていったら自分の目の前にボールが来たので、ヘディングで合わせました」

 左で短くつないで安西が抜け出して折り返し、相手に当たってこぼれたところを、荒木がヘッドで押し込んだ。ただ、これは90分のこと。あと2点を追いつくには遅きに失した。

 できたこともあった。しかし、それを川崎Fに「消された」印象が強いという。

「自分が相手の間で受けてゲームを作ることは、入ってすぐにやっていました。でも、川崎の対応で早めにつぶされて消されました。対応力が早くてどんな相手にも変化できて、すごいチームだなと感じました」

 自分たちで変化を生んで、相手の変化を消し去る。「ここで悔しがっていても、今年はまだ5試合残っているので、全力で戦ってACL圏内(の3位)を目指していきたい」と切り替える荒木と鹿島が目指す道は、そこにあるかもしれない。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


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