川崎フロンターレのナンバー10が復活へ秒読みだ。大島僚太が長期離脱から全体練習に合流し、いよいよ復帰の時を迎えようとしている。長いリハビリの苦しさを乗り越え、8月に父になった男が、チームの連覇への最後のピースになる。

上写真=いよいよ大島僚太が帰ってくる。ラストスパートの大きな力になるはずだ(写真◎J.LEAGUE)

「行けと言われれば出られる状態」

 ついに、大島僚太が帰ってくる!

 今季はAFCチャンピオンズリーグのグループステージでケガから復帰、5試合に出場し、第3戦のユナイテッドシティ(フィリピン)戦では美しすぎるゴールを決めて、自ら祝砲を上げた。帰国して7月17日の第18節清水エスパルス戦で、ついにJ1にも復帰、ここでも1ゴールを挙げる。しかし、続く21日の天皇杯3回戦、ジェフユナイテッド千葉戦で途中出場ながら古傷の右足内転筋を痛めて途中交代、それから再び長期離脱を強いられた。

 ただ、振り返るとこの2ゴールが素晴らしいのだ。ACLの一発は42分、左の三笘薫からの横パスを内側で受けると、反時計回りに中にターン、中央のレアンドロ・ダミアンに預けて落としてもらい、それを軽やかに右足で蹴り出してGKの伸ばした手の先に送り込んでいった。「その場その場の思いつきのプレーの連続だった」とその時に振り返っている。

 清水戦のゴールは50分のチーム2点目。登里享平が中央に強いパスをつけ、受けた脇坂泰斗が短く前へ。登里のパスをまたぐようにして前に進んでいた大島が「3人目」の動きになるという仕掛けになって受けると、しっかり蹴り込んだ。どちらもまさに、川崎Fらしい、大島らしいゴールだった。

 2位の横浜F・マリノスに勝ち点9差をつけて首位を快走しながら、残りが6試合、というタイミングで全体練習に合流できた。「監督に行けと言われれば出られる状態」だ。

 もちろん、鬼木達監督は「段階を踏みながらになる」と起用については明言を避け、本人も慎重で、プレーすることが「めちゃめちゃ怖い」と正直に口にする。それでもやはり、この天才の復帰はファン・サポーターはもちろん、監督も選手たちも待ち望んでいる。戦力になるから、というだけではなく、純粋に大島の楽しいサッカーが見たいという欲求だ。

「僕自身は試合に絡んでいないので、ここまで貢献したとかいう話ではないですけど」と前置きしながら、超過密日程で勝ち続ける仲間を誇らしく見ていた。

「(中断明けで)ここからもう1回始まるところで、みんなの背中を押したいですし、僕自身も引っ張れるプレーをしたい」

 無理はせず、しかしそのひらめきあふれる楽しいプレーで優勝への最後の一押しを。2021年の大島に託されたミッションは、それだ。


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