横浜F・マリノスで杉本健勇の存在感が高まっている。この夏に浦和レッズから移籍してきたストライカーは、10月16日の第32節北海道コンサドーレ札幌戦で移籍後2点目を決めて逆転勝利へと導いた。次の相手は、育てのクラブであるセレッソ大阪。胸を張って古巣からゴールを奪うつもりだ。

上写真=苦しかった札幌戦で同点ゴールを決めて、杉本健勇が逆転勝利への道筋を作った(写真◎J.LEAGUE)

「このチームでやっていて楽しい」

 左からのエウベルのインスイングのクロスを、ヘッドでしっかり当ててゴールへ。杉本健勇は10月16日の第32節北海道コンサドーレ札幌戦で、貴重な同点ゴールを決めた。

 24分に先制されて、札幌のリズムで押し込まれる展開が続いた。その重苦しい雰囲気を吹き飛ばす、起死回生の84分の同点弾だ。試合後には「エウベルとは練習中も話し合っていましたし、先週の練習で(フィーリングが)合っていました。あのようなクロスをくれとも言っていたので、2人で描いたゴールです」と、エウベルのキックへの大きな感謝を口にしていた。

 これこそ、横浜FMの強さだ。杉本の言葉を借りれば「個々の力で勝負できる選手がたくさんいる」ことの象徴的なゴールになった。エウベルも杉本も途中からピッチに入っていて、エウベルのキープと突破とクロス、杉本の嗅覚とポジショニングと高さが見事に組み合わさった一発だった。その4分後には前田大然が逆転ゴール。

 もちろん、そこまでに「(失点を)よく1点で抑えてくれていたなと」と先発メンバーへの感謝の思いも強い。押し込まれながらも我慢を重ねて、絶対的なピンチをゴールラインぎりぎりでクリアして救った岩田智輝らのビッグプレーを称賛しながら、難しい試合を取りこぼさなかったチーム力に胸を張った。

 この連帯感を次にぶつける相手はセレッソ大阪だ。杉本が育ったクラブである。

 ちなみにこの「古巣戦」、過去に5試合に出場していて、3勝2敗1ゴールという戦績だ。大阪でのゲームはすべてヤンマースタジアム長居で戦ってきたので、今回のヨドコウ桜スタジアムでの古巣戦は初めてとなる。

「育ったクラブですし、(アカデミーから)長く戦ってきたスタジアムで、長くやってきたチームと戦うので思い入れもありますし、身が引き締まる思いですね」

 マルコス・ジュニオールが出場停止、天野純が別メニューで欠場濃厚の中、ケヴィン・マスカット監督は、杉本がゴールを決めた札幌戦の組み合わせを採用する可能性も示唆した。前田大然が最前線で、その少し後ろで杉本がボールを引き出す関係性だ。夏に浦和レッズから移籍してきて、どんな役割でもこなす覚悟がある。その思いの中心にあるのが「楽しい」ということ。

「(ケガもあって)復帰してからここまで来ましたけど、このチームでやっていて楽しいですし、結果がついてきたらもっと自信にもなると思う」

 楽しさから自信へ。その大切な道の途中に、杉本はいる。


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