名古屋グランパスは10日、ルヴァンカップ準決勝第2戦でFC東京と対戦した。2失点して2戦合計スコアで並ばれ、アウェーゴールの差で決勝進出の権利を奪われた状況から、稲垣祥は諦めずに戦い、残り10分となったところで起死回生のゴールを決めた。

上写真=勝利の立役者となった稲垣祥(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月10日 JリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦(@味の素ス/観衆9,910人)
FC東京 2-1 名古屋
得点:(F)アダイウトン、高萩洋次郎
   (名)稲垣祥

ファミリーの思いを感じながらプレー

 ホームで戦った第1戦を3-1で制し、手にしたリードを試合開始55分の時点でフイにしていた。ルヴァンカップ準決勝第2戦で名古屋はFC東京に2点を献上。2戦合計スコアで3-3と追いつかれ、アウェーゴールの差で決勝進出の権利を相手に渡してしまっていた。

 だが、名古屋の選手たちはフィッカデンティ監督が言う通り「すごいことをやり遂げた」。ベクトルを前に向けて、アウェーゴールを取りにいく。相手の守備陣形を広げ、ゴール前で勝負をかけるというシンプルな攻めをやり抜いた。試合の残り時間が10分となり、ついにその時は訪れた。ゴールを挙げたのは、中盤で何度もボールを奪い、攻撃に転じるスイッチを入れていた稲垣だった。

 左サイドから吉田豊が入れたクロスをボックス内で拾った森下龍矢が折り返し、シュヴィルツォクのシュートにつなげた。これはGKにストップされたが、こぼれ球に稲垣が反応。シュートは森重真人にストップされたものの、跳ね返りを頭で押し込み、2戦合計スコアで4-3と勝ち越す貴重な得点を決めてみせた。

「本当はああいう展開(=追いかける展開)にはなりたくなかったですけど、結果的に攻めるしかないとなって、全員があきらめずにゴールに向かっていく気持ちがありましたし、今のこういう観戦の形でも、ファミリー(サポーター)の皆さんの思いを感じながらプレーしていましたので、そういったところ(=気持ち)が乗り移ったのかなと思います」

 ゴールを生みだす流れも見事だった。大きなサイドチェンジを受けた森下がガブリエル・シャビエルにつなぎ、一瞬のスキを突いて、シュヴィルツォクにクサビを打つ。その落としを拾った稲垣がダイレクトで高い位置を取っていた左サイドの吉田に展開した。左から右、中、そして左とボールをスムーズに動かす中で、FC東京の守備陣を揺さぶった。そしてクロスが入り、ボックス内で粘りに粘ってゴールをこじ開けた。

 最後に体ごとゴールに飛び込むようにヘディングした稲垣は、シュートが決まるやファミリーが陣取るスタンド前に駆け出し、絶叫。チームメイトと抱き合い、喜びを全身で表現した。

「ゴールを決めて感情が込み上げてきました。そういうものがあふれ出るようなことはなかなか自分自身ないんですが、今回はそういう感情になった。これだけ多くのファミリーの方々が来てくれたこともありますし、日ごろご声援いただいているというのもある。そういう気持ちに応えることができたことが、一番うれしいです」

 79分まで閉ざされていた決勝への扉を、諦めない気持ちでグッと押し開いてみせた稲垣。値千金のゴールでクラブ初の決勝進出を導いた。


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