酒井宏樹対長友佑都。長くヨーロッパで活躍してきた2人の対決に注目が集まった。9月25日の明治安田生命J1リーグ第30節FC東京対浦和レッズ。酒井宏樹は開始直後の失点を自らのミスだと認めたが、前半終了間際に移籍後初ゴール。逆転勝利の礎になった。

上写真=酒井宏樹が移籍後初ゴール! 柏レイソルの一員として決めた2012年3月11日の横浜FM戦以来、J1での2ゴール目となった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月25日 明治安田生命J1リーグ第30節(@味スタ/観衆4,875人)
FC東京 1-2 浦和
得点者:(F)田川亨介
    (浦)酒井宏樹、江坂任

「あってはいけない失点です」

「できればしっかり喜びたかったんですけど」

 酒井宏樹は移籍後初ゴールとなる貴重な同点弾を振り返って、笑わせた。45+1分、右サイドの裏を抜け出して決めたゴールは最初はオフサイドの判定になったが、VARチェックを経てオンサイドと認められ、ゴールが成立した。その間、しばらく時間がたってしまったので、感情爆発、とはいかなかった。

 試合は意外なスタートを切った。開始たったの37秒で浦和レッズは先制を許してしまうのだ。FC東京が最終ラインからロングパスを前線に送り、抜け出した田川亨介が決めたもの。「ディフェンダーとしてはあってはいけない失点です。自分の責任で、チームのプランニングを崩してしまった」と、目の前に入られて決められた自分のミスだと認識した。

 だが、そこから落ち着いて盛り返せるのがいまの浦和だ。酒井の同点ゴールには浦和が積み上げてきたエッセンスが詰まっていた。平野佑一がまず中盤からの鋭い縦パスを江坂任に通し、江坂は右外の酒井に振って、一度戻しながら柴戸海が縦に刺し、受けた平野がペナルティーエリア手前で受けて前を向き、ニアゾーンに入った酒井へラストパスを通した。最初の縦パスで相手の守備ラインを突破し、サイドバックが相手を広げておいて、縦関係になったボランチでつないで、相手の裏を取る。理想の崩しだった。

 そして、酒井のフィニッシュ。「最後は佑一がしっかり見て出してくれたし、股しか見ていませんでした。それしか自信がなかったので、通ってくれてよかった」と、ワントラップから右足のインサイドキックでGK波多野豪の股下をていねいに通した。

 最後にスライディングでこのシュートを防ごうとしてきたのが、長友佑都。注目された2人の「世界基準バトル」でもスタジアムを沸かせ、「佑都くんが入ってチームが締まっていて圧をすごく感じました」と苦しい時間もあったが、66分には江坂が逆転ゴールを決めて勝利と、充実の90分。酒井自身は「お尻の骨の近くの筋肉にヒザが入って、スプリントやジャンプがしづらくなった」ために78分に交代したが、「あっという間でした」と感じるほどに集中していた。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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