9月1日のルヴァンカップ準々決勝第1戦で、川崎フロンターレはアウェーに乗り込んで浦和レッズと対戦。負傷者続出、先制点献上と苦しんだが、登里享平も最後はセンターバックに入ってドローで締めた。約3カ月ぶりとなるホームでの第2戦への思いとは。

上写真=キャプテンマークを巻いた登里享平は、左サイドバックでスタートし、最後はセンターバックとしてドローに貢献した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月1日 JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第1戦(@浦和駒場/観衆4,629人)
浦和 1-1 川崎F
得点者:(浦)関根貴大
    (川)家長昭博

「圧倒して勝つことが理想とするサッカーですけど」

 家長昭博が右ワイドから左ワイド、そして右インサイドハーフへ。遠野大弥が左ワイドから右インサイドハーフへ。橘田健人が右インサイドハーフから右サイドバックへ。イサカ・ゼインが右サイドバックから左ワイドへ。そして、キャプテンマークを巻いた登里享平は左サイドバックから左センターバックへ。

 ルヴァンカップ準々決勝第1戦で、浦和レッズのホームに乗り込んだ川崎フロンターレに異常事態が発生した。31分にジェジエウが、80分に車屋紳太郎がそれぞれ足を痛めて交代を余儀なくされた。この日に先発したセンターバックが2人とも負傷交代、というスクランブル。多くの選手が目まぐるしくポジションを変えて戦った。

 ジェジエウに代わって山村和也が入ったが、そこを浦和に狙われてボールロストして失点したのが34分。苦しい前半だった。

 VARチェックのあとのオンフィールドレビューによってPKを得て、72分に家長が決めて1-1に追いついたあと、車屋の負傷によって登里がセンターバックでプレーすることになった。そこから残り10分と、6分ほどのアディショナルタイムを守り抜いてアウェーでドローに持ち込んだ。

「これまで、(センターバックとして)特に長時間のプレーはなかったですけど、失点せず終わらせることがミッションだったので、声をかけながらできたのは良かった」

 田中碧、三笘薫の移籍、谷口彰悟、旗手怜央らの負傷者、過密日程で苦しい時期が続いている。この日も勢いは明らかに浦和にあり、川崎Fにしては珍しく、守勢のまま時間を使うことが長く続いた。

「内容を良くして勝つこと、圧倒して勝つことが理想とするサッカーですけど」

 登里はもちろん、その高みを捨てているわけではない。だが、「現実」というスイッチを入れることも勝負には必要になる。

「こういうゲームをしっかりと1-1で終わらせることができたことをポジティブにとらえて、次にコマを進めることだけ考えられればいいと思います」

 負けなかったことが何よりだ。アウェーゴールも決めている。9月5日の第2戦では勝つか0-0の引き分けなら準決勝進出決定、1-1なら延長戦だ。2-2以上の引き分けと、もちろん敗戦では突破できないが、鬼木達監督も「勝てば突破でシンプルになりました」と思考はクリアだ。

 登里も次へと目を向ける。

「個人的にはケガ人が不安ですが、ホームに戻れるので、また強気なサッカーをして、サポーターの方の後押しがあるのでワクワクしますし、等々力でやれるのは士気が上がる思いです」

 6月9日の天皇杯2回戦以来、実に約3カ月ぶりのホームスタジアムでのゲームだ。負傷者続出という悪条件も、「等々力劇場」を盛り上げる舞台装置の一つにしてみせる。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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