連敗は許されない。川崎フロンターレが8月25日の明治安田生命J1リーグ第26節でアビスパ福岡に今季初黒星、28日の第27節北海道コンサドーレ札幌戦で再び負けるわけにはいかない。脇坂泰斗は福岡戦で出番がなかった分、見えたヒントがある。札幌戦でそれを思い切り表現するつもりだ。

上写真=脇坂泰斗は初黒星の福岡戦で出場がなかったが、次の札幌戦の重みをよくわかっている(写真◎スクリーンショット)

ランナーとして、リーダーとして

 川崎フロンターレが初黒星…。8月25日のJ1第26節で大きなニュースになった。アウェーのアビスパ福岡戦で0-1の敗戦を喫し、これで引き分け、引き分け、負けと「絶対王者」がちょっとおとなしい。

 単純に自分たちのプレーの質が低い、とまっすぐに受け止めるのは、脇坂泰斗だ。残念ながらこの試合は出場なし。ベンチから戦況を見つめながら、出番に備えた。チーム全体の傾向として、少し怖がっているのではないか、という危惧がある中で、キーワードに挙げたのは「質にこだわりながらも大胆に」だった。

 大胆、とは具体的にどんなプレーを指すのだろうか。

「あまり多くは言えませんけれど」と前置きして明かしたヒントは、「ランニングのところ、ですかね」だった。

「3人目で走るか、いきなり背後を取るのか、味方が使えるスペースを作るために走るのか。いずれにしても、そうやって動きが出てくるので、そこの大胆さがカギになると思います」

 川崎Fにしては本当に珍しいことだが、2つの引き分けと1つの負けの3試合でわずかに1ゴールだ。目標として掲げている「1試合3得点」はここ8試合、達成できていない。相手を惑わしてきた流動的な前線に、活性が失われているという反省が、脇坂には見える。ただ動けばいいわけではないが、まず走る。そして、誰がどんな意図を持って走るかを見極める。

「ここ2、3日で組んだチームメートではないので、選手の良さや特徴はよくわかっています。もちろん、細かいところのコミュニケーションは必要ですけど、ずっとやってきている仲間なので信頼しながらできています。相手もいるので、話した通りにいくとは限らないですから、お互いを見ながらやっていきたいと思います」

 福岡戦も一方的にやり込められた敗戦ではなく、こちらが何度もあったチャンスを決められずに、0-0のまま時計の針を進めさせてしまったことが大きな敗因だ。だから、チャンスは作っている、という事実まで「初黒星」のインパクトによって消滅するわけではない。これまでの積み上げを信じれば勝てるという自信まで失ったわけではない。

「福岡戦に出場しなかったということは、次の試合はフルでプレーするつもりですし、それ以外のところでも引っ張っていって、鼓舞していくところは非常に大事になってきます。練習からどんどんやっていきたい」

 ピッチの上で流動性を生み出す「ランナー」として、そして、仲間を力強く導くリーダーとして。連敗が許されない28日の北海道コンサドーレ札幌戦では、脇坂にブレイクスルーのための2つの役割が求められるだろう。


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