首位の川崎フロンターレに勝ち点差4に迫った横浜F・マリノス。8月21日の明治安田生命J1リーグではベガルタ仙台を5-0と一蹴、攻撃面がクローズアップされるが、それを下支えする守備の安定も見逃せない。この試合では、ボランチでの起用が多い岩田智輝がセンターバックでフル出場して、クリーンシートを達成した。

上写真=岩田智輝はセンターバックとして出場した仙台戦でクリーンシートを達成した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月21日 明治安田生命J1リーグ第25節(@ニッパツ/観衆4,857人)
横浜FM 5-0 仙台
得点者:(横)レオ・セアラ3、マルコス・ジュニオール、天野純

「いかにシンプルにボールを前に供給できるか」

 岩田智輝がセンターバックで無失点勝利に貢献だ。ボランチもセンターバックもサイドバックもこなせる器用で頼りになる背番号24が、ベガルタ仙台を迎えたJ1第25節でクリーンシートの立役者になった。

「攻撃的なポジショニングを取ることと、いかにシンプルにボールを前に供給できるか、それから守備ではリスク管理を常に意識しました」

 横浜F・マリノスで多くこなすボランチではなく、この日はセンターバックとしてプレーしたが、意識するところを問われて答えるのは、やはりまず攻撃のこと、というのが面白い。アタッキングフットボールのポリシーがいかに深く浸透しているのかがよくわかる。

「序盤はパスミスが多かったけれど、徐々に試合に入れてセンターバックの感覚を取り戻せたのではないか」

 尻上がりに調子を上げていった、というのが自己評価。昨年までプレーした大分トリニータではセンターバックが主なポジションだったし、実際にほとんど仙台にチャンスを作らせなかった。

 その岩田に限らず、この日の横浜FMの選手たちのマルチロールぶりは改めて驚きだった。エウベルは右ウイングから左ウイングへ。和田拓也が左サイドバックで先発してボランチへ。小池龍太が右サイドバックから右ウイング。途中からピッチに入った水沼宏太は右ウイングから左ウイングへ。同じく途中出場の天野純もボランチからFWへ。ほかにも、その天野はトップ下でのプレーが多いし、左ウイングで先発した前田大然は前節は途中から得意のセンターフォワードに入ってゴールを決めていて、渡辺皓太もこの日はトップ下で途中から入ったが、ボランチが主戦場だ。しかも、どこに入っても与えられたタスクをハイレベルでこなすのだから、この「柔軟性の集合体」こそ変幻自在の攻撃サッカーの礎と言えるかもしれない。

「自分も他の選手も違うポジションができるのが良さだと思います。それがチームの良さにつながっています。一つのポジションだけではなく、ほかのポジションでもそれ以上のクオリティーを出せるようにやっていきたいと思います」

 チアゴ・マルティンスが打撲で大事を取ってこの試合を回避できたのも、岩田の存在があったから。これこそまさしく、強いチームだけが持つ好循環である。岩田のプレーがその象徴として、夏の夜を彩った。

取材◎平澤大輔 写真◎ J.LEAGUE


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