今夏、フランスのマルセイユから完全移籍で浦和レッズに加入した酒井宏樹が初めて先発メンバーに名を連ねた。先ごろ閉幕した東京五輪を戦ったあとでチームに合流したばかりだが、この日は右サイドバックでフル出場。9年ぶりのJリーグ復帰戦を白星で飾った。

上写真=先発フル出場を果たした酒井宏樹(写真◎Getty Images)

■2021年8月14日 明治安田生命J1リーグ第24節(@浦和駒場/観衆4,704人)
浦和 2-1 鳥栖
得点:(浦)明本考浩、江坂任
   (鳥)山下敬大

ここから積み重ねていくことが大事

 東京五輪の3位決定戦から8日。チーム練習に合流して間もない酒井宏樹が、浦和駒場スタジアムに詰めかけたファン・サポーターの前でいきなり実力の片りんを見せた。

 前半から挨拶代わりのタックルで会場をどよめかせた。鳥栖の中野嘉大にドスンとぶつかると、相手はピッチに転がっていた。結果的に酒井のファウルになったものの、球際の強さは別格。あらためて1対1の守備の強さを見せつけた。ドイツのハノーファーで4シーズン、マルセイユで5シーズン、第一線で戦ってきたタフなディフェンダーにかかれば、五輪の疲れもなんのその。安定した守備でサイドにフタをした。

 持ち前の迫力あるオーバーラップも随所で披露した。17分過ぎには岩波拓也のスルーパスから抜け出し、ペナルティーエリア内に侵入。得点機にはつながらなかったものの、見せ場をつくった。後半途中からさすがに運動量が落ちたが、しっかり存在感は示した。浦和のデビュー戦を白星で飾り、笑みを浮かべてファン・サポーターへ手を振っていたが、まだ自身のパフォーマンスには満足していない。

「10のうちの1か2。まだまだ始まりの一歩と思ってもらいたい」

 コンビネーションも探り探り。事前に試合映像をチェックしていたが、実戦で合わせるのはまた違う。ゲームの中でもチームメイトと何度もコミュニケーションを取り、連係を確認しながらプレーしていた。

「ここから積み重ねていくことが大事です。きょうは90分、常に連係のことを考えてプレーしていました。(自然と)考えずにできるようになれば、(体も)疲れなくなってくると思います」

 何よりデビュー戦を勝利で終えたことに胸をなでおろしていた。入団会見でも言葉に力を込めていた。

「必要なのは結果。絶対的な存在になる」

 ホームで勝ち点3を積み上げたことで、3位との勝ち点差は3ポイントまで縮まった。目標のACL出場権もようやく見えてきた。チームを勝たせる男の本領発揮はこれからだ。

取材◎杉園昌之


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