横浜FCのスベンド・ブローダーセンが12日、オンラインで取材に応じた。「想像を超える」早さでに日本の生活になじみ、プレーでも名古屋グランパス戦では無失点勝利に貢献。縁のある日本でキャリアを重ねたいと新守護神は話した。

上写真=日本語習得が進んでいると話したブローダーセン(写真◎スクリーンショット)

宮市亮から日本について聞いていた

「ハジメマシテ」。画面の向こうでメディアの前に現れた新GKは、日本語でそう語りかけた。

 スベンド・ブローダーセンは、随分と前から日本とつながっていた。ポケットモンスターや遊戯王といった日本生まれのゲームやキャラクターに、子どもの頃から親しんでいた。「特に遊戯王は小学校の授業の合間の休み時間、すぐ出して友だちと遊んでいた。知らぬ間に、日本文化に触れていた」。「ブロ」という愛称の少年は恐竜にも興味があったため、ゴジラも日本とのつながりを強める存在になっていた。

 さらには、チームメイトの存在だ。ザンクト・パウリでは、元日本代表の宮市亮と一緒にプレーした。「宮市から日本についていろいろ聞いていたので興味が湧いた」。その2人がこの夏、宮市は横浜F・マリノスと、そろって横浜をホームとするJクラブへ加入したのだから、やはり不思議な縁はあったのだ。

 そのような下地があったからなのか。ブローダーセンの日本への順応は、驚くべきスピードで進んでいる。「もう平仮名は読めるし、いくか話せる単語もある。ピッチ上の言葉もね。右、左、上がれ、下がれ…。今日はClose the center、ナカシメロ(中央を締めろ)を覚えたよ」。ドイツ代表として出場した東京五輪を合わせても1カ月ほどしか滞在していないのに、すっかり日本になじんでいるようだ。片言の挨拶は口にできても、新外国人選手が文字まで読みこなすというのは、非常にまれなことだ。

 その適応の早さは、意欲あってこそのものだろう。ヨーロッパでのプレーではなく、Jリーグを選んだ理由についても、よどみなく語った。

「ドイツでは2部リーグだったし、控えGKだった。1部リーグに行きたかったし、第1GKとしてプレーすることを求めていた。文化的にも興味があり、宮市からも聞いていたので、日本に来てプレーしようと思った。サッカーに限らず、文化的に人間としても成長したいと思った。Jリーグのハイライト映像を見ても、レベルが高い。選手としても成長できるかなと思う。勝っていってACLに出れば、最後はクラブW杯で欧州王者とも戦える。どこにいてもチャンスはあるので、日本に来ることを選んだ」

 最初のつながりは、環境に与えられた不思議な縁だったかもしれない。だが、身体能力をベースに「ボールに向かう気持ち、勇敢さを前面に押し出したい」というGKは、次は結果という未来を、自らつかみにいく。

取材◎杉山 孝


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