いよいよ8月9日にJ1リーグが一斉に再開だ。川崎フロンターレはアウェー連戦の最初に大分トリニータと戦う。脇坂泰斗はようやく訪れた中断期間でしっかり休息し、新たな攻撃のブラッシュアップを図った。磨いたのは、狭いところに突っ込んでいくコンビネーション。

上写真=脇坂泰斗はタイトル争いの連続になる後半戦へ向けて、力まずにゴールを狙っていく(写真◎スクリーンショット)

「もっともっと得点とアシストに絡む」

 チームメートの三笘薫、旗手怜央、そして6月までともに戦ってきた田中碧が出場していたから、川崎フロンターレのコントロールタワー、脇坂泰斗は東京オリンピックの応援には熱が入った。刺激も受けた。

 残念ながら日本が負けてしまったスペインとの準決勝で、そのスペインが最後の最後に決めきったゴールは、川崎Fと脇坂のこれからに大きな影響を与えるかもしれない。115分、日本の左からのスローインがミケル・オヤルサバルに収まると、日本の選手の間を中に通されて、マルコ・アセンシオに左足で巻くように逆サイドに決められた。

「日本の失点シーンのところが特にそうなんですけど、日本の枚数は揃っているのに、外されて慌てて3人が出ていって空いているところに通されてしまいました。もちろん、素晴らしい得点なんですけど、そういうイメージは持っています」

 この中断期間、そのゴールのようにあえて狭いところを崩していくトレーニングも積んできたのだという。「あまり詳しくは言いたくないんですけど」と笑いながらも、その内容の一端を言葉にした。

「相手の配置のことというよりも、相手が中を締めてきたら、一人ひとりが『締めることができているな』というか人任せというか、『締めているからOK』というメンタルになって、そこに突っ込んでいくことによって相手が何人も食いついてきます。例えば、ボールホルダーになったセンターフォワードにセンターバック2人が食いついてきたら、単純に周りが空いてくると思いますし、そういう効果はあると思います」

 定番のグループテクニックではあるが、それを改めて川崎Fが突き詰めにきていることは、対戦するチームには厄介かもしれない。もちろん、こうして1カ所に相手を集結させておいて、薄くなったスペースを素早く突いていくパターンも同時に整理しているというから、ブラッシュアップに余念はないようだ。

 今季はリーグ戦で20試合に出場して2ゴールだが、4月の終わりから途中交代やベンチ外も増えていた。過密日程によるローテーションの影響もあるものの、ずっと自らのプレーが物足りないと口にしてきた。

「もっともっと得点とアシストに絡むところは、まず大事ですよね。ACLで得点もアシストも積み重ねられたので、リーグ戦でも引き続きやっていきたいと思います」

 そのACLでは、グループステージ第2戦の北京FC(中国)戦で決めた一発を、今後のスタンダードに据えるつもりだ。56分、リラックスして気持ちよくたたき込んでみせた、無回転ミドルシュート。

「あのミドルはトレーニングのときのように力まずに打てたので、どの試合でもああいうシュートが打てるようになれば、ゴールを積み重ねられると思います」

 J1、ルヴァンカップ、天皇杯、そしてACLと4冠の可能性が残っている。「総取り」するためにも、脇坂の力まない大活躍は欠かせない。


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