川崎フロンターレが苦境にある。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で中2日の6連戦、帰国しても隔離生活を送る中で、チーム内に新型コロナウイルス陽性者が出た。それでも、山根視来は言い訳はしない。日本代表の仲間たちの行動を目にしてきたからだ。

上写真=山根視来の精神力の強さは、そのままチームのタフネスに投影されている(写真◎J.LEAGUE)

千葉戦は「キックオフしてから相手を見ていきたい」

 6連勝で首位突破を果たしたACLのグループステージを、チームとして、個人としての2つの面から振り返るとすると、川崎フロンターレの山根視来は前者に手応えを感じたという。

「強いチームは下からの底上げがあります。去年はそうでしたから、今年もそうならなければいけないと思います。ACLでは多くの選手が出場機会を得てアピールできていたので、後半戦に向けていい材料が揃ったのではないでしょうか」

 山根が絶対的なレギュラーを務める右サイドバックでも、イサカ・ゼインがプレーしたり、旗手怜央が回ったり、橘田健人がコンバートされたりと、新たなメンバーが「山根越え」を狙って奮闘した。彼らの突き上げを受け止める山根の個人としての自己評価はしかし、辛口だ。

「思い描いたようにはなっていないので、課題ばかりが出た2週間でした。でも、それも出てこないと成長はないので、ポジティブにとらえて、また進化できればいいかなと思っています」

 中2日でこなした6試合のうち、5試合でプレーして6連勝のチームを支えたが、不完全燃焼だったことが伝わってくる。

 帰国しても隔離生活を送る中で、スタッフ2名と選手1名に新型コロナウイルス陽性診断が出て、状況はさらに苦しい。帰国後最初の試合は7月17日のJ1第18節清水エスパルス戦だったが、検査の状況などから前日のみの練習で迎えなければならなかった。しかし、誰も不平不満を表に出さないことが、このチームの強さの一端を物語る。

「普段の流れからすれば厳しいコンディションでしたけど、日本代表では海外組の選手は時差8時間がある中で帰ってきて、2日だけ練習して試合をして、しっかりとパフォーマンスを発揮しなければいけません。僕たちは時間があったから、言い訳できないかなと思います」

 今年初めて選ばれた日本代表としての自覚が、そう言わせた。

 間もなく中断を迎えるが、その前に7月21日の天皇杯3回戦をしっかり戦う。相手はJ2のジェフユナイテッド千葉。2回戦ではJ3のAC長野パルセイロに最後の最後で追いついて、延長戦でも決着がつかずにPK戦でようやく勝ち抜く状態だったが、またもや下のカテゴリーのチームが立ち向かってくる。全冠制覇を狙う川崎Fが、ここで負けるわけにはいかない。

「サッカーはメンタルスポーツだと思っていて、長野戦では苦戦しましたけど、相手はやっぱり金星を狙ってきます。いい準備をしないといけないと思っています」

 長野戦の反省は、ここで生かされるべきだ。

「スカウティングもしますけど、僕たちを相手にしたときには違うやり方をしてくることもあるので、キックオフしてから相手を見ていきたいと思います」

 千葉はどんな対策で向かってくるのか、そして、川崎Fはそれにどう対応してくるのか。序盤の両チームの仕掛け合いは見逃せない。


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