川崎フロンターレで新しい戦力がデビューを果たした。イサカ・ゼイン。プロ2年目の右サイドバックが、6月2日の明治安田生命J1リーグ第21節・横浜FC戦で先発してプロ初の舞台を踏んだ。山根視来という大きな存在に挑戦する物語が始まった。

上写真=同じくデビューを果たした神谷凱士(左)と。横浜FC戦でイサカ・ゼインがプロとしてのスタートを切った(写真◎J.LEAGUE)

「自分でどうこうするというよりは、周りの選手たちの力を借りて」

 川崎フロンターレのプロ2年目の右サイドバック、イサカ・ゼインがついにデビューを果たした。6月2日のJ1第21節、アウェーの横浜FCで先発出場。山根視来が日本代表に合流して不在だったことで、チャンスが巡ってきた。

「出る前はいま一つ想像がつかない部分があったり、いつデビューできるのかという気持ちもありました。いざピッチに立って最初は緊張しましたし硬かったけれど、途中からはいつも練習試合でも緊張感を持ってやっているように、時間が経つごとに欲が出てきました。デビュー戦というのはやはり特別なものですが、これからのための1試合になったという感じでしたね」

 緊張があったとはいえ、それが功を奏したというか、難しいことを考えずにシンプルにプレーを選択したことがリズムを生んだとも言える。

「周りに素晴らしい選手がいるので、シンプルに預けて出ていくところは鬼木監督にも言われていたので割り切って、自分でどうこうするというよりは、周りの選手たちの力を借りて自分の良さ出そうと思っていました。そつなくやれたということはありましたね。そこからまず自分の良さを出していければと思っています」

 それはある意味で冷静で賢明なスタンスだっただろう。百戦錬磨の仲間たちの力を借りてデビュー戦を乗り切ることは、「絶対王者」川崎Fの選手だからこその「特権」だ。

「前半の飲水タイムが終わった頃でしたかね、やすくん(脇坂泰斗)に『もう慣れたでしょ』って言われて、積極的にいこうと」

 まずはDFらしく守備がきっかけになった。

「守備のところで思い描いたように奪えたときに、これで間違っていないと思って、これを続ければいいと思ったときにやることが明確になったんです。それではっきりした部分はあって、そこから積極的になりました」

 いつもなら山根が担当するポジション。同じことができるわけではない。でも、真似することも必要だ。

「自分のスピードや攻撃の部分で視来くんにはないものを出せると思っているので、ランニングやスピードは違いを出していけるなと。視来くんが体現していることがチームに求められているものだから、そこは真似ていかないといけないし、上回っていく気持ちでやっています」

 それでもまだ、1試合に出ただけだ。謙虚さは失わない。

「いまはみきくんを追い越すための競争に加わることもできていません。自分の力を出していくのが大事なので、そういうプレーで続けていくことが先につながると思います。少しでも競争に絡んでいくことに集中していきます」

 山根を追いかける物語が、いよいよ始まった。


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