北海道コンサドーレ札幌の小柏剛は、川崎フロンターレ戦に先発し、躍動感あふれるプレーを披露した。だが、チームを勝利に導くとはできず、0-2で敗戦。王者チーム、そして勝手知ったる選手との対戦の中で、大きな「違い」を感じたと話した。

上写真=川崎F戦に先発フル出場した小柏剛(写真◎Getty Images)

川崎Fは決め切る。ちょっとしたズレが課題

 2シャドーの一角に入り、ピッチを駆けた。とくに前半は積極的にプレスを仕掛け、川崎Fのビルドアップを寸断。チームがゲームのペースを握るために奔走した。27分には抜群の飛び出しから福森晃斗のロングフィードを相手の最終ラインの裏で収めてシュートに持ち込んだ。しかし、枠をとらえられず、ネットを揺らすことができなかった。

「フクさん(福森)がボール持った時に何回か(裏に)出ろと言われていたので、あのシチュエーションでボールを持った瞬間に、裏に抜けてフクさんなら来るなと分かったいたので。からのパスで良い形がありましたけど、自分自身、ルヴァンカップの試合であそこにボールが出て、トラップでミスするケースが多かったので、トラップを練習してきて、その成果は出たと思いますけど、シュートの精度が悪く、得点につながらなかった」

 小柏自身にとってはこの日一番のビッグチャンスだった。試合をより優位に進められる『ここで決めていれば』の場面だったのは間違いないところだろう。本人も抜け出してトラップまでのプレーに手ごたえを感じていた一方で、シュートを決め切れなかった点を悔やんだ。

「チャンスがあった中で最後のパスのズレや、シュートもそうですけど、そういいったちょっとズレが課題だと思いました。やっぱり川崎はそこでしっかり決め切っていることができていた。そこが差だったと感じます」

 小柏自身が感じたその差こそが、王者との違い。前半は確かに札幌のペースで進んだが、後半は一転、川崎Fが圧力をかけ、ゴールを奪い切った。決めたのは三笘薫。2019年のユニバーシアード(ナポリ大会)でともにプレーし、ブラジルを下して優勝したときのチームメイトだ。当時、小柏は明治大の3年で、三笘は筑波大の4年生だった。

「今日の試合で、最後に相手を1枚はがしてシュートだったり、ラストパスだったりという場面があったんですけど、1つ上の三笘選手との違いを、今日は突き付けられた試合だったと思うので、やっぱりまだまだ足りないですし、そこがゴールではないですけど、もっともっと点を取れる選手になっていかないといけないと思います」

 この日の試合では、19年のユニバ経験者が他にも多数ピッチに立っていた。小柏と三笘のほか、札幌では田中駿汰、金子拓郎、高嶺朋樹、川崎Fの旗手怜央。同世代のライバルたちの競演の中で感じるものはあっただろう。

「僕らは上位のチームでいい試合ができている。ただ今シーズンはその中でも逆転負けしたりしている。内容と結果を両立させることは難しいですが、結果がついてこないと、勝って反省しないと何も得られるものはないと思う。もっともっと結果にこだわってやっていかないと」

 今季ここまでリーグ戦は8試合に出場し、1得点2アシスト。ケガで離脱する時期もあったが、出場数と成績は、本人にとって満足できるものではないだろう。1歳年上で先にプロの世界に入った三笘は昨季、ルーキーとして最多タイとなる13ゴールをマークし、12アシストを記録。Jリーグのベストイレブンにも輝いた。

 現実を突きつけられ、チームとしての差を身をもって知った小柏が、ここからどう歩んでいくのか。成長速度を上げる契機になるとしたら今回の敗戦はより大きな意味を持つ。小柏剛のこれからに注目せずにはいられない。


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