2021年5月16日、明治安田生命J1リーグ第10節が開催された。等々力陸上競技場では、川崎フロンターレと北海道コンサドーレ札幌が対戦。最後の最後に追いつかれた12日の仙台戦の反省を生かし、「やるべきことやって」川崎Fが札幌を破り、J1リーグ22戦無敗の新記録を樹立した。

上写真=先制ゴールを挙げた三笘薫と旗手怜央が抱き合う!(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月16日 明治安田生命J1リーグ第14節(@等々力陸/観衆4,932人)
川崎F 2-0 札幌
得点:(川)三笘薫、小林悠

・川崎Fメンバー:GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平(72分:車屋紳太郎)、MFジョアン・シミッチ、小塚和季(46分:三笘薫)、旗手怜央(87分:橘田健人)、遠野大弥、FW家長昭博、レアンドロ・ダミアン(87分:小林悠)、三笘薫(78分:長谷川竜也)

・札幌メンバー:GK菅野孝憲、DF田中駿汰、宮澤裕樹、福森晃斗、MF金子拓郎(88分:ドウグラス・オリヴェイラ)、深井一希(54分:荒野拓馬)、高嶺朋樹、菅大輝(69分:青木亮太)、小柏剛、駒井善成(69分:ジェイ)、FWアンデルソン・ロペス

勝ってもみんなが反省するのが今のフロンターレ(小林悠)

 前半は札幌が優勢だった。川崎Fのプレスをロングボールで回避して、セカンドボールをことごとく回収。リズムよく攻撃を展開していく。シュート数、パス数ともに首位を独走する川崎Fと互角の戦いを演じ、ポゼッションでも上回った。

 ただ、それでもネットを揺らすことはできなかった。福森のパスから小柏が抜け出しシュートに持ち込んだ27分の場面や、菅のクロスからA・ロペスが左足を合わせた37分のシーンなど、ゴールに迫ったものの、先制点を挙げることはできず。王者の守備陣は最後の最後で札幌のアタック陣を自由にさせない堅さを見せた。

 一方で札幌もマンマークで川崎Fの選手たちをしっかり監視。決定的なシュートは許さず、緊張感あふれる攻防を繰り広げながらもスコアレスで45分を終えた。

 迎えた後半、先に動いたのは川崎Fだ。この日リーグで初先発した小塚に代えて田中碧をピッチに送ると、スタートから圧力をかけていった。その狙いが実を結んだのは49分のこと。札幌のゴールキックの流れから敵陣右で田中碧がボールを奪い、すぐさまL・ダミアンに縦パスをつける。そこからさらに右の家長に展開。クロスには旗手が走り込み、ボールが流れてきたところをボックス内に詰めていた三笘が冷静に蹴り込んだ。川崎Fが流れるような攻撃で先制点を奪った。

 後半開始からペースをつかみに行き、瞬く間にネットを揺らしたのはさすがのひと言。前半はリズムが良くなったが、後半は見事に修正し、切り替えの早さと複数人が同じ絵を瞬時に描いてゴールに向かう川崎Fらしい得点だった。

 先行を許した札幌もその後、61分に福森が惜しい直接FKを放つなどゴールに迫ったが、アグレッシブさとダイナミズムを取り戻し、さらに守備の局面ではむやみに前に出ることなく、中央を閉じてどっしり構える川崎F相手にオープンプレーから攻め込む機会は減っていった。ボールは持てるものの、シュートチャンスを創出することができない状況が続いた。

 逆に川崎Fは試合終了間際にピッチ中央でボールを奪った田中碧が裏へボールを送り、反応した小林がGKとの1対1を冷静に決めて2-0とリードを広げる。試合の入りに成功し、良いペースで戦った前半のうちに決めたかった札幌。前半の反省を生かして後半に修正を施してきっちりゴールを重ねた川崎F。「マンツーマンディフェンスに対しては一番、自分たちが崩していけるはずです。そういう戦いをしなくてはいけない」と鬼木監督は戦前に話していたが、昨季ホームで敗れた雪辱を、同じ2-0というスコアで果たすことになった。

「前節の嫌なドローのところから選手はしっかり自分たちのやるべきことをしっかりとやってくれた結果だと思います。こういう5連戦の最後で苦しいゲームでしたけど、点を重ねたこと、ゼロで体を張って抑えたこと、選手の成長を感じる良いゲームだったと思います」

 鬼木監督もリバウンドメンタリティーを示せた価値ある勝利だと選手を称えた。12日の仙台戦でアディショナルタイムに失点し、ドローに持ち込まれたが、この試合では最後まで集中力を切らさず、2-0でゲームをクローズ。仙台戦の反省、そして前半の問題点をすぐさま修正。「勝った試合でもみんなが反省点を挙げてすぐに言い合っている」と現在のチームの好循環について、チームの2点目を挙げた小林は指摘した。

 この勝利で川崎Fは昨季から続き、リーグ戦22戦無敗を達成。リーグ記録を塗り替えた。首位を快走し、常勝への道もひた走るが、その視界はますます良好と映る。修正力も携えた川崎Fに、死角なし。無敗記録も、まだまだ更新していきそうな気配だ。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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